続・危険なお留守番・女子大生由真-7
「―――ねぇ由真。昨日あんたと一緒にいた松山さんって、ちょっとカッコイイじゃない。彼氏なの?」
「……ち、違うよ。あの人は高校の時からの先輩で……たまたま同じ学部だからいろいろ教えてもらってるだけ……」
和也のほうをチラチラと気にしながら困ったように答えていた由真。
「ふーん。でもあの子、和也にちょっと似てない?」
「……や、やめてよ!関係ないってば!」
あまりにも由真がムキになるから、その話は何となくそこで終わってしまったのだが―――。
まさに今、由真と親しげに会話を交わしているその男の横顔は、確かに少し自分に似ているように思えた。
由真との身長のバランスから考えると、その男は和也よりも10センチ近く長身なのがわかる。
それだけのことで、自分が男として敗北してしまったような気がして、卑屈な怒りが込み上げてきた。
「あいつか……松山とかいうヤツは……」
いくら先輩だからといって、こんな時間まで若い娘を連れまわすなんて非常識だと一言言ってやらなければ気がすまない。
そう思って玄関に向かおうとした時、その男が由真の身体を強く引き寄せるのが見えた。
「……何……?」
由真は一瞬困惑したような表情を見せたが、男に抱きしめられながら耳元で何か囁かれると、観念したように瞼を閉じた。
「…………由真」
スローモーションのように、ゆっくりと由真の顔を撫でる男の指先。
そして―――
二人の唇がぴったりと重なった。
何度も愛しあった女にするような馴れ馴れしいキス―――。
余裕たっぷりの雰囲気から、男が相当女の扱いに慣れているのがわかる。
頭を殴られたようなショックと、猛烈な不快感が和也に襲い掛かった。
『――お前……妹に何やってんだよ――――』
頭が割れるようにガンガン痛い。
目の前の光景に強烈な胸苦しさを感じながらも、何故か目をそらすことが出来ずに、和也は荒い息を吐きながら、重なり合う二人をじっと睨みつけていた。