続・危険なお留守番・女子大生由真-6
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鍵を開けて玄関に入った瞬間、違和感を感じた。
家の中に人の気配がない。
念のため2階に上がって由真の部屋を確かめたが、やはり一度も帰って来ている様子はなかった。
「あいつ……こんな時間まで何やってんだ……」
春から大学生になって羽根をのばしたい気持ちもわからないではないが、夜中の2時は遅すぎる。
自分は由真と二人きりになるのが気まずくて居酒屋で時間をつぶして来たくせに、もうそのことは棚に上げて、由真のことが心配でたまらなくなってきた。
由真はしっかりしているようで案外抜けたところがあるから、昔から安心できないのだ。
『まさか、何か事故や事件に巻き込まれたとか―――?』
和也はいてもたってもいられなくなってリビングに取って返すと、一旦脱いだスーツのジャケットを再び羽織り直した。
『終電に乗ってたのか?………とにかくもう一度駅まで戻ってみよう』
―――焦りながら家の鍵を手に取ったその時、表に車が止まったような気配がした。
「………?」
カーテンの隙間から覗くと、見覚えのないスポーツタイプのセダンから、がっちりとした長身の男が降りるのが見えた。
そして男がゆっくり開いた助手席側の扉から現れたのは―――紛れも無く由真だった。
男は由真をエスコートするように背中に手を置いている。
その顔を見た瞬間、和也の胸はズキリと痛んだ。
数週間前に聞いた母と由真の会話が蘇ってくる。