双子の姉妹。 7.5-3
***
「ん…ん?」
目が覚めると外はまだ真っ暗、部屋は寒くて電気は点けっぱなし。
寝ちゃったんだ…
携帯を開くと時間は午前2時を回っていた。
微妙な時間に起きちゃった。
とりあえずトイレに行ってからちゃんと寝よう。
お風呂には入ったし歯は磨いてるし。
俊哉の課題はまだ終わってないけど、明日学校でやろう。
そんなことを考えながら部屋を出ると、まだ琴音の部屋の電気が点いている。
「……琴音、起きてるの?」
部屋の扉を開けると、琴音は机に向かっていた。
イヤホンをしているせいなのか、集中力がすごいのか、琴音は全く気付かない。
「…あれ、お姉ちゃんどうしたの?」
部屋の中央まで来ると、琴音はようやく気付いたらしく、イヤホンを外してこちらを向いた。
「まだ勉強やってるの?」
「……うん」
「頑張るわね」
あたしがそう言うと、琴音はまっすぐにこちらを見て言った。
「お姉ちゃんには負けたくないからね」
なんだか胸がズキリと痛んだ。
「なに言ってるのよ、あたしが勉強で琴音に勝ったことないじゃない」
「…違うよ。勉強じゃない」
正直、最初に言われた瞬間からわかっていたのだけど。
「琴音…さ、俊哉に告白したの…?」
「…うん、したよ。お姉ちゃんより先にしないと勝ち目ないし」
即答、か。
それにしても、琴音はさっきから何を言ってるのだろうか。
「琴音…あんたね…」
本当に告白をしていたというショックよりも、あたしをさっきから引き合いに出すことにイラついてしまった。
「あたし、せんせと付き合いたい。せんせに愛されたいし、せんせの面倒みたい」
その言葉に、あたしは流石にキレてしまった。
だってそれは、全てあたしが最初に俊哉に対して思っていたことなんだから。
それからは、すごい速さで言葉が飛び交った。
「あたしは昔から俊哉のことが好きって言ったじゃん!!じゃ…邪魔しないでよ!」
「…でもお姉ちゃんは、せんせにアピール何もしないじゃん」
「それは…!俊哉に嫌われたくなかったから!」
「告白しないと何も始まらないよ?」
「っ!琴音には話してたからわかると思うけど、あたしは俊哉に一目惚れだったの!あたしが最初に好きになったのに…」
「うるさいっ!!」
「…琴…音?」
「お姉ちゃんにはあたしがどれだけ辛かったかなんてわかんないよ!あたしだってせんせが好きだったけどお姉ちゃんには言えないし!でもせんせは麻琴、麻琴、ってお姉ちゃんばっかり相手してさ!」
「なっ…そんなの…」
「お姉ちゃん気付いてなかったの!?あたしはどれだけ頑張ってもあんまり構ってもらえなくて…お姉ちゃんは疲れてるからって…成績が上がったからって…同じ大学受けるからって…」
「……琴音」