双子の姉妹。 7.5-2
***
「じゃあまた明日」
俊哉が玄関に立つ。
あたしより先に見送りに出たのは琴音だった。
「せんせ、帰り気をつけてね」
「おう、琴音、今日は対策も進んだし早く寝ろよ」
「はぁーい」
いつもと変わらないのにやっぱり何かが違うようで気になる。
「……麻琴、お前も無理はさせるつもりはないけど、俺の課題はやっとけよな」
「……わかってるわよ」
それだけ話して俊哉は帰っていった。
「あ、お姉ちゃんもうお風呂入ってるんだよね。じゃあ私も入ろっと」
琴音はすぐにお風呂場へと向かっていった。
あたしは階段を上り、部屋に戻る。
今日は俊哉の匂い、しないな。
それが俊哉のどこからする匂いなのかはわからないけど、俊哉からしかしない優しい匂い。
いつもは俊哉が帰ったあと、部屋に入るとふわっと香る匂い。
あの匂いだけでドキドキして耐えられなくなる。
「ふぁ…あれだけ寝たのに眠い…」
ベッドに飛び乗る。
ふと思い出す。
最近は俊哉が毎日のように部屋に来るから隠したままのぬいぐるみたち。
ほとんどは天井裏の収納スペースに隠してあって、お気に入りはクローゼットの中で緊急時にはベランダの見えない場所。
これも俊哉にバレたら笑われるんだろうな…
絶対にこれだけは見つからないようにしないと…
そんなことを考えているうちに、あたしは寝てしまった。