生徒会へようこそ【MISSION'1'自己紹介を円滑に遂行せよ!】-6
「あともう一つ」
でも僕の口は止まらない。
止めちゃダメなんだ。
「あなたは自分で委員長と言いました」
委員長は委員会の長。
「ここは、何かの委員会なんじゃないんですか?」
『オツ』って人は何も言わず、僕をじっと睨む。
僕も目を逸らさない。
視界の端の方で、宝さんが不安そうに僕と『オツ』って人を交互に見ている。
最初に口を開いたのは、意外にも公彦先輩だった。
「オツ、もう無理だ」
無理ってことは『そう』なんだ。
「公彦先輩、どういうことなのですか…?」
「すごいねー、優ちゃん。アタマいいんだねぇ」
続いて小鞠先輩。
「小鞠先輩?これは…」
「香住の言う通りだ」
『オツ』って人がニヤッと笑った。
「分かったな、宝。ここは生徒会じゃねぇ、『生徒委員会』だ」
生徒委員会?そんなの初めて聞いた。
「騙していたのですか…?」
宝さんが小さく呟く。
「いぃや、騙してねぇよ。『生徒委員会』略して『生徒会』。ま、だから何だって訳じゃねぇだろ!生徒会もウチも大して変わりねぇんだ」
「騙していたのですか!!」
バンッと机を叩きながら宝さんが立ち上がった。
僕以外の三人は驚いたようだ。
「そういう訳じゃないの、本当だよ?」
「ただ生徒委員会と言ったって、毎年入ってくる奴はいないんだ」
「渡邊先生まで…」
宝さんの声が震えている。
悔しそうな横顔がギリッと歯を食いしばった。
「ナベはな、宝だから声を掛け」
「もう結構です!」
『オツ』って人の声を遮って、宝さんは第4多目的室を出て行ってしまった。