生徒会へようこそ【MISSION'1'自己紹介を円滑に遂行せよ!】-5
「ふーん、そっかそっか。へー、ほぉ」
お?
「ま、お前がそこまで言うなら仕方ねえ。自己紹介、してやんよ」
うう〜ん、理不尽な気がするけどまぁいいか。
『オツ』って人の後ろで小鞠先輩がニコッと笑いかけてくれた。
その代わり、宝さんがそっぽを向いてしまっているけど…。
だいぶ機嫌が治った様子の『オツ』って人は満足げに椅子の上に立った。
「何を隠そうこの俺が生徒会の委員長である!」
何っ!?この人が一番偉い人だったのか!
……え?
「そんな俺の名前は」
「…あ」
分かった。
入学式って言葉に引っかかってた理由も、こんなに人が少ないのも…。
「鯨岡」
「あの、ちょっと良いですか?」
「…んだよ?」
『オツ』って人は、自分の自己紹介を遮られて若干不機嫌そうだ。
「僕、あなたを初めて見ます」
「当たり前だろ」
はぁっと短くため息を吐きながら、僕を呆れた顔で見る。
でも、そんな訳ないんだよ。
僕らは面接を受けた時点で気付かなきゃいけなかったんだ。
「僕は生徒会に入ったつもりでいました。でも違いますよね」
「優?どういうことだ?」
宝さんが僕の方に向き直った。
眉間にシワを寄せている。
一瞬、僕はこれ以上話すのを止めようかと思った。
でも、宝さんは生徒会に入るんだって言ってた。
僕の不純な理由なんかと比べ物にならないくらい、真っ直ぐな強い意志を持って。
それなら、男として僕は黙ってる訳にはいかない。
「ここは生徒会だぜ?」
「違います。僕は一度入学式で生徒会長に会ってます。生徒代表として挨拶をしていました。でも声も姿も、あなたじゃなかった。
はっきりと覚えてる訳じゃありませんけど…。
だから、逆にあなたみたいな個性的な人だったら覚えてると思うんです」
「それだけか?」
『オツ』って人が僕を真っ直ぐ見てくる。
眼光で貫かれそうだ。
心臓が跳ね上がってくるのが分かる。