生徒会へようこそ【MISSION'1'自己紹介を円滑に遂行せよ!】-4
「キーキー、喚く、だけの、サルは、嫌い」
宝さんは筆箱を避け、バットを避け、バスケットボールを避け、国語辞典を避け、椅子を避け
「だっ!!」
最後に飛んできた看板に裏拳をくらわした。
グワシャーーァァァン!!
という大きな音がして、室内は一瞬静寂を取り戻した。
えええええ…。
あのクールな宝 寿絵瑠が裏拳。
この子、喧嘩したら僕より強いんだろうな。
「お、おお悪いな、怪我しなかったか?」
そしてあなたのそのスッキリした笑顔は何ですか!
一通り暴れて得た爽快感ですか!
こっちはどれだけビビったと思って…。
「オッくん〜、ほらぁみんなオッくんの自己紹介聞きたいって〜」
「小鞠先輩!そのサルは一体」
「サルって言うな1年坊主がぁーっ!」
「あ、ね?ほらほら寿絵瑠ちゃんもオッくんのこと超知りたいってぇ」
「いえ、別にそんなに」
「んだと、コラァー!」
「オッくんオッくん!優ちゃんがさっきから尊敬の眼差しで見つめてるよ!ねっ?」
「……まじで?尊敬?」
うわーここで食いついてしまったぁー。
「ねっ?」
えっと、僕すごい責任重大なんじゃない?
僕の答え方一つで、下手したら死人が出ちゃうんじゃ。
うわー小鞠先輩すごい見てる。目力半端ないよ。
公彦先輩なんてもはやパソコン取り出しちゃってるし、興味無しですか?
宝さん、その『貴様こんなやつを尊敬しているのか?ドン引きだな』みたいな目をしないで。
立ち直れなくなりそうだからやめて。
とにかく何か言わなきゃ。
「は…あ、いいえ」
「ア゛?」
ひー…!えっと…。
えぇっと、何て答えたらいいんだ…!
「尊敬と、いうより…あなたがどういう人か気になります」
「ア゛!?」
ひえ〜…!
えと…んーと…。
「そういう、個性的な格好は、僕なんかじゃ真似出来ません!
だから、素直に凄いって思います…」
嘘は言ってない!本当にそう思う。
でも、あれ…まだ?まだ足りない感じ?
『オツ』って人の目がまだ俺を褒めろと催促している。
えと、えっと。
「周りに流されない人はカッコいいと思います!」
自分の思いの底にある気持ちを大声で言い放った。
優柔不断の僕には出来ないことを、平気で出来る人はすごいと思う。
ああ、普段の僕なら自分の気持ちなんて絶対言えないのに。
ここの雰囲気がそうさせてるのかな。