光の風〈決意篇〉-8
「お前をここに置いておく訳にはいかないって…てっきり厄介払いかと思ってた。」
日向の言葉に貴未は微笑む。そうじゃないのだと日向はきっと思ったのだろう。
再び歩きだした二人は他の仲間がいる部屋へと向かった。
カルサの本心が知りたい。
本当のカルサが知りたい。
日向の中でその気持ちがどんどん膨らんでいく。あの人は一体どんな人なのだろう。
貴未の中に大きく位置する存在、すごく慕っていることはすぐに分かった。
「着いたぞ。」
扉を開けるとそこには見慣れた顔があった。
「皆、日向を見つけた!」
貴未の元気な声に一斉に視線が集まる。見慣れた顔以外にも知らない顔が2つあった。金のような銀のような明るく鮮やかな色の髪をした女性と漆黒の髪の女性。
どこかで見た事あるのか、日向は二人の女性が気になった。
「日向!?どうしたんだ、ぼろぼろじゃないか!」
駆け寄る千羅に意識を戻し、慌てて自分は大丈夫と手を振った。その手を優しく取り瑛琳が微笑んだ。
「回復魔法をかけるわ。こっちへ来て。」
手を引き、日向を椅子に座らせた。久しぶりに感じる暖かい空気に日向はとまどいを隠せない。
しかし直にまた二人の女性へと意識が移った。
「随分と力が強くなったんだな。伝わってくる。」
「本当?」
千羅の言葉に嬉しくなり日向は笑顔になった。千羅は微笑ましく頷く。
「さ、日向!懐かしいけど覚えてるか?」
威勢よく手をたたいて貴未は声を張り上げた。
「地球で会った、マチェリラと圭だ。」
名前を呼ばれた二人はそれぞれ反応を示した。名を聞いて甦る記憶、確かに見覚えがあって当然だった。
「ええっ!?二人こんなに綺麗だったっけ!」
日向の嬉しい驚きに圭とマチェリラは思わず頬を染めた。
「当然よ。ねぇ、シャーレスタン?」
「ありがとうございます、日向さん。」
照れて素直になれないマチェリラをフォローするように圭はお礼を伝えた。恐縮して頭を下げる日向を見て二人は微笑む。
「日向、祷との相性はどうだ?」
「相性っていうか、頼りになるパートナーだよ。」
「そんな…ありがとうございます。」
千羅の言葉から始まった和やかな空気は日向にとっては久しぶりに感じる落ち着く空間だった。千羅、瑛琳、祷と話込む日向をマチェリラと圭は厳しい顔で見ている。