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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風〈決意篇〉-6

「ねえ、貴未。前に何でも話してくれていいって言ってくれたよね?」

「ああ。どうした、何かあるのか?」

 うん、そう小さく頷いて日向は少し俯いた。自分で切り口を作ったはいいが、いざとなったら躊躇してしまう。

しかしここで飲み込んでしまうと貴未に気を遣わせてしまうし、何より燃えかすがずっと残ったままになって日向自身にも良くなかった。

 言葉につまる日向を貴未は黙って待っていた。

「カルサさん…僕の事煙たがってるんじゃないかって思うんだ。」

 日向の言葉に貴未は足を止めた。

「だから、オフカルスに行くのも本当は嫌がってるんじゃないかなって。」

 まるで泣きだしそうになるのを堪える子供のように口元には力が入っていた。

「五大元素の1つである火の力、自分を目醒めさせた人物だったらある程度興味を持つと思うんだよ。力が欲しい時期なら尚更。」

「でもカルサは近寄るどころか拒絶しているように見える、か。」

 付け足して言われた貴未の台詞に日向は頷いた。

貴未には日向の言わんとしている事が分かった。しかしカルサの思いも知っている。

「僕はこの先どうしたらいいのか分からない。自分が誰なのか知りたいだけなのに。」

 日向がシードゥルサに来てから自分について分かった事は、自分の火の力は稀に見る特別なものだということ。だから尚の事知りたいと願ってしまう。

 自分は一体何者なのか、何故この力を持つ事が出来たのか。

「僕の探している場所がシードゥルサ以外なら、僕はそこへ行きたい。」

 逃げ道や安全は自分の手で断ち切ってしまった。もう答えのない不安な思いを悩むくらいなら前を向いて進みたかった。

 日向の思いは貴未に通じたのだろう。前を見据える日向の向き合おうと決めた。

「カルサは日向の事を嫌っている訳じゃない。」

 貴未の声に誘われて日向は貴未と視線を合わせた。

「むしろ大切にしている筈だ。じゃなきゃ、日向をここに連れてこない。」

「どういう事?」

 首を傾げて聞いてみた。今の日向にはどうやっても答えが見つからない。

「ここはどこよりも安全な場所らしい。オレはテスタさんがいるここの存在を知らなかった。」

 日向は貴未の言葉を頷きながら受け入れていく。


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