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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風〈決意篇〉-14

「その為にはヴィアルアイの下へ行き太古の因縁を終わらせる。」

「そうだ。」

添うように千羅も言葉を挟んだ。強い意志がそこにはある。

間違いなく二人の声は入り口付近にいる全員にも聞こえているだろう。目の端に映る日向は不思議そうな顔をしていた。日向を守る事が義務な理由を今は本人に語るつもりはない。

いつか記憶が甦った時に自分のルーツを知り、今は分からないこの状況を後々に理解するだろう。

それでいい。カルサはそう考えていた。

「裁判者が腕を振り下ろす瞬間まで、オレは戦う。」

カルサの決意表明は千羅が望んだものだった。強く揺るぎない意志は待ち望んだもののはずなのに胸が苦しくなる。

カルサの思いが強くなればなるほど、比例して千羅の想いも強くなる。それは彼の感情の高ぶりにも反映していた。震える呼吸を整えるために深呼吸をする。

「オレはお前を生かし続ける為に戦ってきた。今もこれからも変わらない。」

 カルサが分からないほど小さく頷いたのを千羅は気付いた。


「カルサと共に行動し、カルサを守り続ける。それがオレの目的だ。」

千羅の強い意志と熱い思いが真っすぐにカルサへ向けられる。

「じゃあ、オレも!」

威勢のいい声が響いた。右手を挙げた貴未がカルサと千羅の下へゆっくりと近づいていく。

「決意表明の場なんだろ?だったら皆の目的を再確認しようぜ。」

ちょうど入り口近くにいる瑛琳達とカルサ達の間で貴未は足を止めた。両側に笑顔を向けて了承を得る。

「カルサの目的も聞いた、千羅の目的も聞いた。ここにいる皆はこれから戦う中で大切な仲間だ。少しの疑惑も無くしておきたい。だからここでお互いの目的をハッキリさせるのはいいと思うんだよ。」

貴未はカルサをまっすぐに見た。目で訴えている、変なわだかまりも少しは消えてなくなるかもしれない。カルサは貴未の優しさに応えるように微笑んだ。

「オレの目的は永(はるか)。永をこの手に取り戻してカリオに帰る事だ。」

再び貴未はカルサを目指して歩き始めた。

「同盟は継続だ。」

目の前に立ち右手を差し出し握手を求める。カルサは貴未の手をしっかりと握った。

「ああ。」

強く確かな握手をしたあと貴未は振り返り、微笑むことで次を促した。それに応えたのは圭だった。

漆黒の髪を揺らしながら、しなやかにカルサの近くまで進む。そしてカルサの隣に位置していたテスタに向けてお辞儀をした。


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