『春』-1
「あぁ…やっと会えた…」
彼女は、嬉しさのあまり、思わず艶めいた吐息を漏らした。
これから彼女には、枯れるまで思う存分愛撫を与えられ、狂ったように乱れる数日間が待っているのだ。
「さくら、会えるまで、良い子にしていたようだね。
俺の為に綺麗に準備をしていてくれたんだよね?」
彼もまた、再会を喜んでいた。
息を呑むほどに美しい彼女に会えるこの数日間が、彼は大好きだった。
「でもごめんなさい、今年は少し忙しくて…。
去年の方が私、キレイだったわよね…」
「そうだなぁ…去年に比べると、今年は80%ってとこか?」
「まぁ、ひどいひと…!」
「はは、冗談だよ。
皆に自慢したいからね、残りの20%は、俺の手で綺麗にしてあげる。」
「うれしい…
初めは、優しくしてね…?」
甘い睦事を囁き合いながら、互いの身を寄せる。
彼が、その暖かい手のひらで、ゆっくりと彼女を撫で始めると、彼女は
「…はぁ…っ…」
と軽い呻きを漏らした。
「もう、準備は万端なようだね?
でもまだ、人が集まるには時間が早いようだ。
それまでに、綺麗にしておかなくてはね…?
どこを、どうしてほしい?」
くすくすと笑いながら、彼は彼女を焦らした。
「嫌…他の人なんてどうでもいいの。
あなたに触れてもらえれば、それでいいの。
もっと…もっと私を暖めて…」
いやいや、とかぶりを振ると、甘い彼女の香りが辺りを染める。
彼は、我慢できなくなり、彼女に口づけた。