危険なお留守番・女子高生由真-5
「……由真?オマエこんなとこで何やってんの?」
「お、お兄ちゃん!」
今夜は帰ってこないはずの和也がそこに立っていた。
とっさに手に持っていたバイブレーターと電池を背後に隠す。
「……お兄ちゃんこそ……デ、デートは?」
「……お、お前に関係ないだろ……」
和也は不機嫌な声でばつが悪そうに答える。彼女とケンカでもしたのかもしれない。
「……あれ?……オマエ……それ何だよ?」
由真の肩ごしに部屋を覗きこんだ和也が、ベッドの上の異様な物体に気がついて目を見開いた。
まさか和也が帰ってくるとは思ってもみなかったため、ベッドの上には二本のバイブレーターと電動マッサージャーが置きっぱなしになっている。
「………由真……これ……」
「ち、ち、ち、違うよっ!」
真っ赤になって否定する由真。
「……まさか……オマエの……?」
「ち、違うよ!……お、お母さんのだよ」
追い詰められ、しかたなく白状するしかなくなった。
「……か…母さんの……?」
目の前に広がる異様な光景と、それが母のものであるという驚愕の事実に、和也は言葉を失っていた。
和也は童貞ではなかったし、もちろん人並みにAVにも興味がある。
この手の玩具はそういうもので何度も目にしたことがある。
しかし、普段「性」とはほとんど結びつかない「家族の空間」の中で初めて目にする実物のそれは、AVの中でみるよりもひどく卑猥で生々しい物体に見えた。
「……あの……ここで探しものしてたら……偶然見つけちゃってさ……その……どんなものなのかなぁって思ってさ……」
耳まで赤くなってしどろもどろに言い訳する妹。
和也の中で由真はまだ小学四年生ぐらいの子供のようなイメージしかなかったが、こんな物に興味を示すような歳になったのかと妙に感心してしまう。
「……で、でもさ……お、お母さんもよほどお父さんにほっとかれたんだねきっと!……寂しくてつい買っちゃったんじゃない?」
気まずい雰囲気をなんとか取り繕おうと一生懸命早口でまくしたてる由真がなんだかいじらしく感じられた。
性的な好奇心を兄に知られてしまったことがよほど恥ずかしいに違いない。
思春期の自分を見ているようで和也は胸がきゅんとなるような気がした。
こういう時は批難したりせず、自分も明るく振る舞ってやらなければ―――。
兄らしい気持ちを取り戻して大袈裟に陽気な表情を作ってみる。