双子の姉妹。 7-4
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翌日、俺は大学を途中で抜け出して櫛森家に出向いた。
「あれ」
いつもなら昼間でも鍵が開いてるのだが、今日はしっかり閉まっている。
いやそれが普通なんだけど。
おかしいな、今日はおばさんは仕事休みのはず。
とりあえず、ピンポーン。
しかし出ない。
おばさんも昼間から外出することがあるのか?
とりあえず、もう一度押してだめなら諦めよう。
そう思ってチャイムを押すと、しばらくしてバタバタと音が聞こえた。
「はいー?あれ、俊哉くん」
「こんにち…ぶはっ!」
おばさんは、バスタオル一枚だった。
「俊哉くん、どうしたの?こんなお昼から」
「とにかく、中で話しますから、服を着てきてください!」
「はーい」
家に入れてもらうと、おばさんの後ろ姿を見ないようにリビングに入った。
「…はぁ」
深い溜め息を吐いてから、昨日麻琴がしていたようにソファーにもたれ掛かる。
俺はいつもおばさん、と呼んでいるが、前にも言ったとおり、おばさんはめちゃくちゃ綺麗で若く見える。
それこそやばい歳で双子の姉妹を産んだんじゃないかってくらい。
だから、さすがにあんな格好で出てくると、白昼堂々ぐへへ…奥さん…な状態になりかねないと思う。
「へぇ、俊哉くんは、ぐへへ…奥さん…ってしてみたいの?」
「ええ、そりゃあもち…ぶはっ!」
しまった!心の声が口に!?
というか、いつからいたんだ?
おばさんは真後ろで笑っていた。
当然、服は着ている。
「じゃあ俊哉くんは人妻も守備範囲なんだーへぇー」
「誤解です!というか、何でこんな時間にお風呂に?」
「それはやっぱり、おばさんも毎日仕事と家事があるから、たまにできるリラックスタイムなの」
そっか、おばさんも大変なんだろうな。
仕事も忙しいって言ってたし、それから帰ってきて毎日家事もこなすのだから。
娘達の勉強のことまで手が回らないのもわかる。やっぱり俺が頑張らなきゃな。
「なるほど…でもこの家インターホンついてましたよね?」
「それは、焦っちゃって忘れてたの。普段はよく使うんだけどね」
たまに天然だよな、この人。
「それで俊哉くん、今日はどうしたの?」
「あ、前に言ってた相談事のことなんですが…」
「そっか、じゃあお茶の準備するからちょっと待ってね」
「はい」