双子の姉妹。 6-2
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「…うっし」
大学を出てからはビシッと先生モードになる。
今日はいつものバイト自体はないのだが、櫛森家に行くことになっている。
校内模試の結果が出ているからだ。
双子の姉妹それぞれと少し前に交わした約束。
それらの結果もすでに出ているのだ。
「おじゃまします」
相変わらず鍵をかけずに不用心だなこの家は。
初対面の人間に留守番任せたりするし、変わった家族だな、やっぱり。
ほとんどの要因はおばさんだが。
「あら俊哉くん、どうしたの?」
櫛森家に入ると玄関にはおばさんが立っていた。噂をすればなんとやら。
それにしても、おばさんが出迎えてくれるのは珍しいな。
「今日、二人の校内模試の結果が出てるはずなので。二人はいますか?」
「あら、そうなの。いるわよ。上がって」
「はい、あ…おばさん」
俺はつい背中を向けるおばさんを呼び止めた。
「どうしたの?」
「あの、今度相談に乗って頂きたいことがありまして」
「あら、珍しいうえにかしこまっちゃって俊哉くんらしくないわね」
「はは、その件はまた近いうちに」
「了解!」
おばさんはパチッとウインクする。
ちょっと変わってるかもしれないけど、やっぱりおばさんは、若いし綺麗だな。
リビングに入ると、すぐに麻琴と目が合う。
「よう麻琴」
「……なんでいるの!?今日休みでしょ!?」
明らかに声がうわずっている。
「お前ならわかっているはずだ」
「……さ、さあ」
目を逸らす麻琴。分かりやすすぎる。
「……そうか」
「…う、うん、じゃあお昼寝するから、何の用事かこれっぽっちもわかんないけど、俊哉、ごゆっくり」
そう言って静かに立ち去る麻琴。
「待て麻琴!」
「……やばっ!」
俺が追いかけると麻琴は走り出す。
「待て!」
二人とも走って階段を駆け上がることに。
しかしタッチの差で、麻琴は俺が入る前に部屋のドアを閉めた。
鍵をかけたのか、ドアノブを回しても全く開かない。
「開けろ麻琴!」
「あっ!わかったから!ちょっと待っ!」
ドア越しに麻琴の慌てる声が聞こえる。