マッドな彼女with俺5-4
「何してんのよ。こんな所で」
綺麗な澄んだ声が後ろから聞こえた。
それはここに居るはずのない声だったので俺は慌てて振り向いた。
「か、香澄!?」
そこには頭に包帯を巻いた香澄が腰に片手をあてて立っていた。
「どうしてここに!?
てか、入院してたんじゃ…」
「もう大丈夫よ。私はそんなに柔じゃないわ」
「まぁ、それもそーだな」
「…なんか鼻につく言い方ね」
香澄は俺の隣りに腰掛けた。
声かけられるまで全く気付かなかったけど、かなり長い時間そこで座っていたのか、お尻の辺りがすごく痛い。
「で、何してんのよ?」
「いや、別に空見てるだけだけど…」
「キモッ。
よくもそんな言葉が口から出るわね。あんた一体どれだけ気持ち悪ければ気がすむわけ?」
いつもながらにひでぇ…
「…いや、もう、なんかすみません」
「全っっく、大体そんなことだから、あんな変な不良共にやられるのよ!」
そう香澄に言われて俺はさっきミサトに言われたことを思い出していた。
「…そう、だよな。
自分の力じゃ、あいつらに勝てないって普通に考えれば分かるのに俺は感情的になって1人で考えなしに行動して、結果こうして香澄諸共、怪我してて………俺、ほんと最低だわ」
ははっと冗談めかして俺は笑った。
そんな自分がやけに情けなくて…惨めで……
「ごめんな、香澄。
こんなのが彼氏で」
香澄に頭を下げた。
「………そんなことない」
「え?」
「駿八は最低なんかじゃない」
香澄が静かに俺の右手をぎゅっと握った。
「確かに昨日私は駿八の後先何も考えていない行動に対して怒りを覚えたわ。
『なんで私に相談しないの? そんなに私は信頼されていないの?』って」
でもね、と静谷は続ける。