想-white&black-L-11
雨……。
ぼんやりと外を眺めながらそんなことを考えていた。
朝から雲行きが怪しいとは思っていたが帰り際になって雷が鳴り出している。
あれから数日が過ぎ、麻斗さんの言動は一部を騒がせたが思っていたより早く日常が戻ってきていた。
暗く立ち込めた雲に走る一瞬の閃光と地に響く音が胸を掻き乱すような気がして息苦しい。
「待ったか?」
「楓さん……」
教室で一人窓の外を見つめていた私の元に楓さんが迎えに来てくれた。
「電気もつけず何をしてるんだ」
薄暗い教室を怪訝そうな表情で見渡している。
「何となく……」
「相変わらず訳分からないな、お前のすることは」
稲妻が光る度に楓さんの顔を浮かび上がらせる。
それはよりこの人の美しさを禍々しく増幅させていくようだった。
「あいつは今日もここへ来たのか?」
何気なく口にされた"あいつ"という言葉に反応して肩が僅かに揺れた。
私のことをただの遊び道具としてしか見ていないなら、そんな風に気にしないでほしいと思ってしまう。
「麻斗さんなら今日も来ました」
「………」
楓さんは聞くだけ聞いてそれ以上何も聞いてこようとはしなかった。
結局それだけの興味しかないということなのだろう。
そう思い内心落胆していたところに、楓さんがまっすぐ私の目の前に歩み寄ってきたかと思うといきなり腕を掴んできた。
「花音」
低く名前を囁かれ、反射的にその顔を見上げた瞬間はっとする。
私を見つめる眼差しの奥に情欲の色が滲んでいたからだ。
「まさか……っ、こんな所でっ……」
「俺に逆うなという契約だろ。それに側に置いて欲しいと言ったのはお前だということを忘れるな」
楓さんは教室の扉に鍵をかけると遠慮なしに再び間を縮めてきた。
吐息が掠めるほど近くに楓さんの顔があり、思わず胸がざわつく。
「ひ、卑怯よっ……、ん、んんっ」
私が言い終わる前に唇を塞ぐと制服のブラウスに手をかけ、そのまま左右に一気に引きちぎった。
ボタンが弾け飛び、乾いた音を立てながら床に散らばっていく。
そしてそのまま露になった下着を乱暴に上に押し上げると、右手で乳房を鷲掴みにする。
いたわりのない行為のせいで痛みに顔を歪めた。