ラブ節句ー雛ー-2
数日後。
「あっくぅぅ〜っ!雛人形飾るぞーっ!イエーイ!」
ぇえ〜テンション高〜。嫁ながらちょっと引くわ〜。
「こいつのおかげで我が家は火の車だよ〜イエーイ!」
待て待て待て。
このクソバカめ。あっくに大人の事情喋ってんじゃねーわよ。
「それ、次あっくに言ったらぶっ殺す」
全く…何でこんなハイテンションなの。
雛人形選び始めた時から、やたらテンション急上昇しやがって。
よく数日間もそのテンション維持したよね。
「カブトはもういいんだ」
ていうか、信念どうした。
「は?カブト?女の子は雛人形って相場が決まってんだよ。お前アホか」
…死ね!信念を冒涜した罪で死ね!
「明来ちゃ〜ん!超立派な七段飾りだよ〜ん!七段…かざ…り」
おっといけない。殺意を抱くな自分。
今からこのバカでかいお雛様飾るんだから。
このバカ…でかい…
「ぬあっ!」
「ぬおっ!」
た、大変…。
雛人形のことばっか考えて重要なこと忘れてた。
「雛人形飾るほど広いスペースがぬぁーいっ!」
「何で気付かなかったんだ…」
あんたのテンション、だだ下がりか。
てか、調子乗って立派なの買うんじゃなかった…。
カスだ。アタシら夫婦はカスカスだ…。
「…いや、一カ所だけあるぞ」
え?
「…あ」
「ハイ、せーの」
あんたとアタシの声がハモった。
「…階段!」