生徒会へようこそ【MISSION'0'停学を回避せよ!】-8
「はい、もちろんです。先輩の命令は絶対です」
「そうか、じゃあ脱げ」
…え?
「脱げ、ですか?服を!?」
そんな、こんな命令おいしい!じゃなかった。おかしい!
宝さんも目が泳ぎ困惑してきている。
「何だ、出来ねぇのか?」
なんだ、これ。こんな命令間違ってる!
そうだ。確か女の子がいたはず。その人が助けてくれるんじゃ。
「イエーッ、脱ーげ!脱ーげ!」
だめだ。
宝さんは下唇を噛みしめている。
心臓が破裂しそうなぐらいバクンバクンと大きく鳴っている。
僕はこのままでいいのか?何も出来なくて、見てるだけ?
「出来ないなら、うちに入れるわけにはいかないな」
今度はあの低い声の人。
「…宝さん」
宝さんの唇が動いた。
『邪魔するな』
大きく深呼吸をすると、宝さんはキッと前を見据えた。
そのまま、茶色のブレザーのボタンを外す。
本気なんだ。
そこまでして生徒会に入りたいんだ。
ばさりとブレザーが床に落ちた。次に中に着ていたカーディガン。
呼吸もままならないぐらい、心臓が早くてうるさい。
チェックのネクタイをシュルッと外して、ワイシャツとチェックのスカート姿になった。
宝さんが目をつむる。
ワイシャツの一番上のボタンを外し、二番目を外した。そして三番目に手をかけた。
「…ッダメだ!」
僕は宝さんの腕を掴んでいた。
やっぱりダメだった。
そのまま見過ごすなんて出来ない!
女の子にこんなこと、させちゃダメなんだ!
「貴様っ」
「ダメなんだ!こんなこと!これ今すぐ着て」
僕は足下の制服を拾って、宝さんに押し付けた。
「どういうつもりだ」
宝さんの言葉を無視して彼女の前に立ちはだかる。そして、光の向こう側にいるであろう人たちに僕は叫んだ。
「こんなことさせちゃ、ダメです!どうしても脱がなきゃいけないなら、僕が脱ぎますっ!」
もう自棄だ。
「だから、僕が脱ぐから、宝さんは生徒会に入れてあげてくださいっ!」
鼻息も荒く、僕は制服を脱いでいく。
なぁーんにも考えてない。
強いていうなら一つだけ。
宝さんが生徒会に入れればいいなと、頭の片隅で思っていた。