最後の白-2
「…もう…無理だ、…いい?」
「ん…来て、一緒にっ、…いくから」
そして、一度大きく引き抜いた根を、彼女の泉の先まで貫くように、打ち込んだ。
「あああっ…」
「ん…くっ」
白い欲望が、彼女の泉へと飲み込まれていく。彼女を抱き締めながら、一生分の欲望全てを注ぎ込んだ。もう二度と精を吐き出せなくても構わない、全てを注ぎ込めるなら。
肩で息をしながら、ゆっくりと根を引き抜くと、泉から溢れ出た欲望が白く濁ってしたたり落ちた。この上なく哀しくこの上なく狂おしい快感の名残を確かめるように、その夜は数年ぶりに手を繋いで眠った。彼女の冷たい手と、俺の汗ばんだ手。すやすやと眠る彼女と、まどろみを繰り返す俺。明日はもう、このベッドには、俺ひとりになる。小さく呼吸をしながら眠る彼女の顔を見つめているうちに、気付けば空が白み始めていた。夜が、終わる。
駅まで送る、という申し出を断り、玄関先で別れた。彼女が階段を降りる音が遠ざかってから、部屋の窓を全て開けた。春の初めの風が吹き込む。この風が、彼女のいた空気も匂いも連れ去ってくれるように祈りながら、ジンジャーエールを飲み干した。