ゆらぎ村の悪霊〜後編〜-1
由良木山中間お堀口
民俗学教授の伯方次郎と、謎の祓い師尾部京太はお堀口の堀をシャベルでかき崩していた。
「後でバレたら大変ですよ。」
尾部はあまり乗り気ではなかった。
「大丈夫ですよ。尾部さんの話の通りなら、ここにはその阿須磨村のおじいさんしか立ち寄らないようですし、後で元通りにすればいいんです。」
「まぁ…そう言われれば、そうなんですけど…。」
伯方達はサクサクと掘を横へ下へと掘り続けた。
そして、3時間後…
「………!!!!」
ついに尾部が何かを掘り当てたようだ。
「伯方さん!!見て下さい!空洞です!穴ですよ!」
伯方はそれを見て満身の笑みをこぼした。
「やりましたね。きっとこの先にあるはずですよ。黄泉道の社が!!」
二人は懐中電灯で照らしながら、出てきた空洞の中を進んでいった。
空洞の入り口は狭く、大人二人が通るのがやっとだったが、だんだんと広くなっていき、二人は広い洞窟のような場所に出た。
「これは驚きましたね。」
「ええ、酸素もちゃんとあるし、ひょっとしたら、別の入り口もあるかもしれませんね。」
「いえ、そういう事ではなくて…。阿須磨村の人達は、まさかこれだけの洞窟を長きに渡って隠し続けていただなんて、普通、由良木村の人間に見つかりますよね。」
「え?」
「これまでの話を整理してみて下さい。ここを知っているのは阿須磨村の人間だけなんですよ。現地に住んでいる由良木村の人間が普通に考えて気付かないはずがないんです。」
「あ、確かにそうですね。」
「尾部さん、もしかすると、これは最悪なシナリオに辿り着くかもしれませんよ。」
そう言いながらも、伯方の目は生き生きしていた。
そして、伯方が何を言いたかったのかが、阿須磨村の老人と直に接触した尾部にはなんとなく分かっていた。
「これは……尾部さん!!」
洞窟の先を進んでいくと、伯方が何かを見つけたようだ。
そこには、石で出来た形の悪い鳥居が建っていた
「いよいよですね…黄泉道の社。」
鳥居の先にはきっと社があるはず
二人はそう思って鳥居をくぐろうとした
その時!!
「バシィィィッ!!」
鳥居から急に衝撃が発して、二人は2メートル近くはじき飛ばされた。
幸い二人共怪我はなかったが、あまりの出来事に二人は顔を見合わせた。