ゆらぎ村の悪霊〜後編〜-5
「エネルギー体…霊の力はもう尽きかけています。そう長くは保たないので、じき、異変は止むでしょう。つまり、私達に出来る事はもう終わったのです。あとは…村長が一度でもあの社に向かわれるのなら、彼らも鎮まってくれることでしょう……。」
「そう…ですか。」
尾部が言ったとおり、数日後、村の異変は止んだ。
尾部と伯方の元には感謝状と村の特産品が送られ、秋津は自分の手柄だと雑誌で言い回っていた。
そして、さらに一週間後…
尾部は伯方の研究室へ呼ばれた。
「尾部さん、今回の件はご苦労様でした。」
「いえ、あの一件は伯方さんの知識があってこその成果でしたよ。それより、何か聞きたい事があるのでは…?」
伯方はうなずいた。
「エネルギー体は通常、意志を持たないとあなたは言っていた。なのに、あなたの話を聞くと、彼らはまるで意志を持っているように感じたのですが、実際のところ、どうなのでしょうか。」
尾部は答えた。
「あれだけの数が固まっていたんです。一つ一つの断片が繋がって、意志を持ったとしても不思議ではないでしょう。ですが、私も今回のような件は初めてでしたよ。」
すると、伯方はクスクスと笑い出した。
「まったくですな。尾部さん、また今回みたいな依頼がありましたら、是非、私もご一緒させて下さい。あなたは実に面白い方だ。」
こうして、由良木村で起きた妙な事件は幕を閉じたのであった。
笹松市、由良木村では、今日も小石神様が悲しそうな顔で並んでいる。