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ゆらぎ村の悪霊
【ホラー その他小説】

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ゆらぎ村の悪霊〜前編〜-1

幽霊……

死人の結晶、その後の姿といわれる存在

人は古来よりその存在を恐れ、気味悪がってきた

我が国日の本では、狐が化けた姿という例や、妖怪の一つに数えられる事もある

さらには、害を有す者と、その存在を祓う者も現れ、幽霊はいつの時代も我々に密接に、科学の進んだ現在もしばしば囁かれている

そして時は平成の世

彼らに立ち向かう一人の男がいた
彼の名は尾部京太(おぶ きょうた)
自称、言わずと知れた悪霊祓いである…

【ゆらぎ村の悪霊〜探索編〜】

笹松市、由良木村……

古来より漁業とよもぎの栽培で栄えてきた小さな村である。

この村で最近、ある異変が起き、人々に災いが及んでいるそうである

そして、その異変に耐えかねた村長は幽霊の仕業に相違ないと、祓い師や霊媒師を呼びつけ、真相を暴かんとしていた。

その中に、あの男もいた……

「由良木村の村長をしております。武市と申します。えー、今回あなた方をお呼びしたのは他でもなく、この村で頻繁に起こっている異変から、村を救っていただきたいと……えー、そのような所存でございます。」

木造の狭い公民館の中、村長は彼らに事情を話し始めた。

今回この村に呼ばれたのは3名

霊媒師・秋津よし子。雑誌ファミリースに毎週コラムを載せている少し胡散臭い女性。
晴田大学民俗学研究室教授・伯方次郎。笹松市内の歴史に最も通じている男らしい。
そして、最後に自ら祓い師と名乗り、やってきた謎の男・尾部京太。この物語の主人公である。

「で、具体的にはどのような異変が起きたのでしょうか?」

最初に口を開いたのは伯方だった。

「ええ。最初は車で夜道を運転していると、道路の真ん中に白い着物を着た女性が現れたという報告を受けました。」

「場所は?」

「それが、由良木山に向かう道路、村内の農道、更には由良木橋まで、由良木村のほぼ全土で起きていたそうです。」

「異常だわ……。」

秋津が考え込むような姿勢でつぶやいた。
村長は話を続けた。

「それで、事故でも起こすと大変だと思い、私が隣りの波坂市の舛添神社の神主にお願いして、村内各所の祠に祓いをかけていただきました。すると、今度は別の異変が起こり始めたのです。」

「別の異変…。随分と厄介な話みたいですね。」

「次は村の人間に直接被害が及ぶようになりました。突然変なうめき声をあげたり、むさぼるように生米を口に放ったりと…本人はその間の事は全く覚えておらず、まるで何かに取り憑かれたかのようで……。」

「それもまた、村全体で起こっているわけですね?」

伯方は少し困ったような表情で腕を組んだ。


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