同窓会〜揺るぎない想い編〜-8
「すぐには無理だけど…色んなことが片付いたら、藤木に会いたくなるかも」
柏木の答えは、俺を天国へと舞い上がらせるものでもなければ、地獄へと突き落とすものでもなかった。
だけどそんな彼女の素直な言葉で、俺の心は温かいものでいっぱいになる。
柏木の気持ちが、2人の間で泡のように弾けて消えてしまわないうちに、俺はこう付け足した。
『待つよ。俺柏木を…っていうか、俺ずっと待ってたのかもお前のこと』
柏木は一瞬驚いた顔で俺を見たけど、すぐに穏やかに微笑み頷いてくれる。
10年越しの告白なんていまさら流行らないのはわかってる…でも俺はもうこの先柏木しか欲しくない。
そう遠くない日に、再び俺の横には柏木がいて、2人して何でもないことで笑い合っていられたらいいなと思う。
相変わらず早起きだってしなくちゃならないし、得意先では下げたくない頭だって下げることだろう。
もしかしたら…先の見えない不安が2人を襲って、初めてのケンカをするかもしれない。
でも柏木が隣にいてくれるなら、俺はどんなことだって受けとめられる。
きっと2人の関係は…幼すぎて恋なんて呼べないようなものかもしれない。
でも俺はもう…柏木の側を離れないと決めたから。
やわらかな柏木の頬を両手でそっと包む。
――目を閉じた柏木に、俺は誓いのキスをした。