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同窓会
【理想の恋愛 恋愛小説】

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同窓会〜揺るぎない想い編〜-7

『たしかに酔ってるけど、酒の力借りてこんなことしてるわけじゃねぇよ』

俺はいつになく、素顔の荒々しい自分を柏木にぶつけていた。

なりゆきでこんなことをしてる訳じゃない…それだけはわかって欲しかったから。

それでもあらがう柏木の唇を、俺はまたしても強引に塞ぐ。

白状すれば、今ここで力づくでも彼女をものにしてしまいたい…そんな焦りも確かにあった。

彼女の弱みにつけ込む卑怯な手だとわかっていたけど、俺は俺なりに必死だったから。

『お前のせいで酔いが冷めたから、責任取ってもう1軒付き合えよな!』

明らかに理不尽な俺の要求を、柏木は「ったく…しょうがないわね」と涙の乾いた顔で了解してくれた。



「あたしもうすぐ離婚することになると思う」

そう言った柏木の口調が、どこか淋しげだった。

『それは柏木が望んだことなの?』

「たぶん…お互いがそう望んだんじゃないかな?もう今となってはどっちでもいい…」

珍しく投げやりな柏木が痛々しくて、やりきれない気持ちが俺を襲う。

我慢しないで泣いちゃえばいいのに…俺がそう思いながら隣を見ると、柏木は痩せた指にはまる結婚指輪をクルクル回していた。



柏木は高校当時から、泣き言を口にして人を頼るタイプではなかった。

むしろすぐ側にはいつも俺がいたんだから、泣きついて甘えてしまえばいいと何度も思った…そう今だって。

でも柏木は一時の感情に流される奴じゃない…それが10年経った今でも変わっていないことが、嬉しいようなもどかしいような気持ちにさせる。

当時の柏木は、ことあるごとに素直じゃないところや、甘え下手なところを気にしていたけど、俺はそんな柏木の気に入らない部分が好きだった。

柏木と一緒に巡った3度の季節は、今思えば俺にとって永遠に続く夢のような日々で、お互い側にいるのが当たり前…。

いつの日か別れが来ることすら、その時の俺には信じられなかった。

俺が柏木への気持ちを自分の胸にしまい込んでいたのは、柏木とのそんな心地いい関係を壊したくなかったから。

だから柏木の前では、ずっとただの親切な友達のふりをして笑っていた。

たぶん素直じゃないのは、俺も一緒だよ…柏木。



「今まで結婚考えたことないの?」

少し落ち着き、朗らかに話し始めた柏木が、ふいに俺にそう聞いてくる。

『あるよ』

そう答えたら、柏木がどんな顔をするか見てみたかったから、俺は嘘をついた。

一瞬見せた柏木のせつない表情を胸に焼きつけ、柏木にこう聞いた。

『柏木?また会えるか?』

これきりだと言われたら、明日からどうやって生きていこう…。

半分そんなことを考えながらだったから、俺はとんでもなく悲痛な顔をしていたと思う。

てっきり茶化されると覚悟したけど、柏木は思いのほか冷静だった。


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