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同窓会
【理想の恋愛 恋愛小説】

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同窓会〜揺るぎない想い編〜-2

高校卒業後…柏木と別の大学に進んだ俺は、もちろん人並みに恋もした。

恋愛をゲームのように楽しむ何人かの悪友のように、器用に立ち回ることは出来なかったけど、俺は俺なりに目の前の人を大事にしていたつもりだ。

季節がひと巡りするまでつき合いが続いた子もいれば、ひと月足らずで会わなくなってしまった子もいる。

原因は相手の方にあったこともあるけど、たいていの場合は俺のせいだった。

「快斗はさ、結局いつもうわの空で私のことなんか見てないんだよ…」

言い回しは違うけど、いつもそんなような言葉を残して、彼女たちは俺の前から去っていった。

ムリもない、あの頃の俺は柏木の残像や残響に埋め尽くされていたのだから…。

それでも、そうしていくつかの出会いと、いくつかの別れを知り、俺はやがて社会人になる。

相変わらず、柏木を俺の中から消し去ることは出来なかったけど、目の前に押し寄せる仕事に忙殺され、彼女の記憶が少しでも薄らぐなら、むしろありがたい。

就職先の大手商社では、およそ自分には似つかわしくない営業の部署に配属され、ついに社会人として世間の荒波に揉まれる日々が始まった。

もともと人と競争すること自体に意味を見い出せず、自己主張と無縁だった俺は、ビジネスマンとしていささか熱情不足に映ったらしい。

そのことでたびたび上司や先輩にどやされ、客先では何度も恥をかくはめになった。

さすがに悔しさに奮い立った俺は、必死になって社会の仕組みや成り立ち、大人としてのマナーや人間関係を学んでいく。

就職後2〜3年は、とにかく仕事の出来る先輩に置いていかれないよう、サービス残業、休日出勤もいとわず率先して働いた。

その後遅ればせながらやる気を買われた俺は、会社が立ち上げたプロジェクトに参加が許される。

そのプロジェクトの成功を肌で感じた時、俺は仕事の醍醐味や達成感に魅了されていく。

そして、自分の男としての価値を試すべく、さらなる営業利益確保の為に邁進する。

入社7年目の今年、いくつかの大口契約を取りつけた俺は、もう先輩にどやされることもなければ、客先で恥をかくこともなくなっていた。



無我夢中で走り続けたこの6年…最近そんな仕事漬けの毎日に、ふと疑問を感じ始めている。

仕事での評価が上がるたびに高くなるハードルを越える為、さらに自分の時間を削り、心をすり減らしていく生活に…。



俺はこんな今…無性に柏木に会いたかった。

彼女の何色にも染まらない透明な心に触れたら、きっと自分を取り戻せそうな気がする。


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