卒業-8
***
どのくらいそうしていたかはわからないが、もうかなりの時間が経っている気がする。
「凛先輩…もう大丈夫ですか?」
僕のその言葉に、凛先輩は反応し、すばやく顔を上げた。
「!」
あまりの近さに唇と唇が触れそうになり、僕はとっさに離れた。
「……ああ」
凛先輩は顔を赤くしながら頷いた。
そしてゆっくりと立ち上がる。
「…はい、ぼーやも。立って」
「え、あ、はい」
そうして凛先輩と向かい合う。
「あー…恥ずかしいところ見せちゃったな」
「凛先輩のあんな姿、初めてでしたが、すごく可愛かったです。口調も泣き叫んでるときだけ女の子っぽくて。すぐに戻っちゃいましたけど」
素直にそう言うと、凛先輩は微かに反応を見せた。
「……まあ、私は学校を卒業するけど、お互い、心は卒業できないみたいだな」
「…はい」
それは当たり前だ。
僕は、凛先輩とはもう離れられない。
「じゃあ、最後に」
「はい…」
先輩はいつもの真面目な顔になる。
「守、これからも私に着いてくるんだぞ!」
「……はいっ!」
そうして、形だけの卒業式は終わった。
凛先輩が学校からいなくなるのは寂しいけれど。
僕と凛先輩の心は、いつまでも卒業することはないと思う。
end
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