卒業-6
「お前は約二年間、ずっと私にべったりだったなぁ」
「…そうですよ」
「明日から私はいないわけだが、ぼーやは大丈夫か?ここも一人になるし…」
「…っ!大丈夫じゃないですよ!!」
気付けば僕は怒鳴っていた。
何も言えなくなって、でもお別れなのに何だか先輩が冷めてて腹立たしくて。
無理に捻り出した言葉だけど、これじゃただの逆ギレだ。
いや、先輩は元々キレてないのだけど。
「…どうした?」
凛先輩は僕の大声に動じずにそう言った。
「この二年間、僕は凛先輩とずっと一緒にいれて本当に楽しかったです…凛先輩は今日で高校を卒業ですけど、僕は離れたくありません…なのに先輩はなんでそうやって冷めてるんですか…」
「…ぼーや」
もう熱くなりすぎて、僕はそのまま畳みかける。
「…凛先輩は寂しくないんですか!?今日で最後なんですよ!?僕は最初に凛先輩の応援を見たとき、凛先輩に一目惚れしたんです!それからずっと凛先輩と楽しい時間を過ごせて本当によかった!でもまだ先輩とは離れたくない!!先輩から卒業したくないんです!」
勢いで告白もしてしまった。
こんな言い方をするつもりじゃなかったのに。
なんで僕はこうなるんだ。
最後に凛先輩を罵倒してどうなるんだよ…
二人の大切な思い出を…嫌な思い出にさせちゃうじゃないか…
凛先輩もさすがにショックだったのか下を向いている。
やはり強く言い過ぎた。謝らないと…それに結果も聞きたい。
「……すいません。つい熱くなっちゃって…それで、凛先輩は」
「ぐずっ…!」
……え?
「うっ…ふぇぇぇん!!」
……凛先輩?
「ぼーやぁぁぁ!」
凛先輩が泣いている…
しかも普段の姿からは想像できない感じで。
なんか、めちゃくちゃ可愛い。
「凛先輩…?」
「私もぉぉ!ぼーやと離れたくないのぉぉ!ずっと泣くの我慢してたんだからぁぁぁ!ぼーやが男らしくなっちゃってびっくりしたよぉぉ!うぇぇぇん!」
凛先輩はぺたんと床に座りこみ、本気で泣き出した。
先ほどの僕自身の暴走にも結構驚いたけど、先輩のこの姿には本気で驚いた。