卒業-4
「凛先輩…どこに…」
辺りを見回すが、凛先輩の姿は見えない。
まだ教室に残っているのだろうか。
それとももしかして、見逃した?
最悪の結果を思い浮かべ、ぞっとした。
しかし、ずっと周囲を見渡しているうちに一時間以上、時間は過ぎ…
正門には僕一人となった。
「凛先輩…」
結局、凛先輩は現れなかった。
それとも気付かずにもう帰ってしまったのか…
こうなったら、先輩の家に行こう。
ちょっと遠いけど、それしかない。
そう思い、校舎に背を向けた瞬間、ある考えが浮かんだ。
自惚れるような考えだけど…
もし先輩が僕を待ってくれているとしたら…
そうして僕は、再び校舎の方に向き直ると、走り出した。
思い出の場所に。