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双子の姉妹。
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双子の姉妹。 5-5

「俊哉ー!」
「……」
「なんで今日はそんなぼけっとしてるの?何食べる?」

いかん、考えに夢中で道中の会話を全く覚えていない。

いつ店入ったんだっけ…

「あ…ああ、じゃあ、ナポリタンで」
「なに俊哉、可愛いじゃん」
香織はニヤニヤと笑った。
「うっせーな」



料理もそこそこに、それからはいつもの何でもない会話を続けていた。


だが…


「俊哉ってさ、いつになったらあたしと付き合ってくれるの?」
「……はぁ?」

不意打ちだ。

真面目に香織にことを考えている時に限ってそんなことを言う。

相変わらず、空気を読めないというか、自分勝手な話。

だけどいつも心のどこか嫌がりながら、実はそこまで気にしていない自分がいた。

「…変なこと言い出すなよ」
「だってあたしはずっと俊哉にアピールしててさ…キスだってしたのに…俊哉はどうとも思ってくれてないの?」
「…お前は本気か冗談かわかんないんだよ」
「誤魔化さないでよ!好きな人なんだから、そこまでするんだよ!?好きでもない人にキスするわけないじゃん!」
怒りだす香織。
でも、自分勝手ながら言っていることは正論だと思う。
「……」
何も言い出せない。
「もう待ちくたびれちゃったよ…」
「……」
「なんか言ってよ…俊哉」


しばらく沈黙が続く。


そしてナポリタンもすっかり冷めてしまった頃、香織は小さな声で言った。
「……これでわかったよ、俊哉」
「…何が」
「俊哉は双子の姉妹が好きなんだよ」
「はぁ?」
何を言い出すんだ。
「俊哉があたしのことを恋愛対象として見れないのは、あたし以上に双子の姉妹が魅力的だからだと思う」
「……そんなわけ」
「あるよ!だって俊哉が双子の姉妹のことを話してるときって、とっても楽しそうなんだもん!」
俺の言葉を遮った香織はそんなことを言う。
俺ってそんな顔してたのか?
「わかんねーよ」
「……もういいよ。女っていうのはね、そういうことに敏感なの!」
「……」
「二人のうち、どちらかを選ぶのはきっと辛いことだと思うけど、頑張ってね」
急に真面目な顔になんなよ、香織。
お前はいつもそうやって…
「困ったときは相談になるから」
自分勝手で…
「じゃあ俊哉との恋愛ごっこはおしまい。今からはまた友達として接するからね」
俺に優しくしてくれるんだよ…

「……わかった。ごめん、香織」
「もう!謝んないの!」


それからは再び、大学の話題なんかをだらだらと話してから解散した。


「バイバイ、俊哉」


帰り際に香織が放ったその言葉は、強く胸に突き刺さった気がする。


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