君しか愛せない〜初めて彼女を抱いた日〜-1
その日、俺らは
大ゲンカの真っ最中で。
しかもケンカの原因は、
いつまでも彼女に手を出せないでいた、俺。
彼女は、そんな俺に
不安と不満を抱えて悩んでいたらしい。
だけど、俺だって手が出せないのには理由がちゃんとあった。
ちょっとした誤解から、
以前、彼女の浮気を疑ったことがあって。
……俺は、彼女を犯そうとしたことがある。
そのときの彼女の拒絶が
俺のトラウマになっていたんだ。
彼女が好きだから。
何よりも、大切に想ってるから。
初めて、彼女を抱くときには、
最高に優しい男でいたい。
そんな想いが、
俺をビビりにさせていた。
ケンカした俺と仲直りしようと、
雨の中、傘も差さずに俺を待っていた彼女。
制服の色が変わるほど、雨に濡れてしまった彼女を、俺は自宅に連れ帰った。
彼女を家に入れると、
洗面所に案内し、タオルを渡す。
「シャワー、使って?」
下心アリだとか
思われたくなかったけど。
今は、そんなこと言っていられない。
「制服は、風呂場に乾燥機がついてるから、出たら乾かして?」
強張った顔をしていた彼女も、
さすがに、ペコリと頭を下げた。