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双子の姉妹。
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双子の姉妹。 4-3

***

「うっめぇー!」
「俊哉、ご飯中に叫ばないでよ」
「まぁまぁ、麻琴、いいじゃない。俊哉くん、たくさん食べてね」
「はい!」

櫛森家ではいつも、成績表が返ってきた日に豪華な夕食をとる。
二人がいい成績でもそうでなくても、前からそうなのだ。
勉強面ではあまり口を出せないおばさんのせめてもの労いなんだろう。

今日はすき焼き、肉は高級。

苦学生の俺がこんなもの食べていいんですかね?
本当にいろいろな面でこの家族には感謝している。

「せんせ、お玉とって」
「豆腐か?なら俺がとってしんぜよう」
「あはは、ありがと」
「俊哉ったら、いつもこの日はやたらテンションが高いのよね」
「いいじゃないか麻琴。つーかいい加減、俊哉って言うな。先生、または俊哉さんと呼べ」
「むっ」



麻琴が俺のことを呼び捨てにするようになったのは、ちょっとしたエピソードがある。

俺が初めてこの家に家庭教師で訪れた日、これから生徒となる琴音は急な委員会か何かでまだ学校から帰っていなかった。
それでリビングで帰りを待っていたのだが、おばさんも急に夕食の買い物を忘れたということで家を空けていた。
今思えば初対面の人間に留守番をさせるなど不用心だが、そんな理由で一人で家にいたときに、私服姿の麻琴が帰ってきた。
後で訊いたところによると、学校から返って友達と出かけていたとか。
まあそんなこんなで初めて麻琴と会ったとき、麻琴は何を思ったのか俺のことを琴音の彼氏だと思ったらしい。
なんと今日から家庭教師が来ることは知らなかったとか。
おばさんはちゃんと話していたらしいが麻琴がちゃんと聞いていなかったらしい。

そして俺は俺で、姉がいることは聞いていたがまさか双子の姉、つまり年下とは気付かず敬語で話していた。
見た目も大人っぽかったし。
やがて話が合い、その場で仲良くなったために俺は麻琴に呼び捨てで呼ばれた。

そんな互いの誤解で俊哉、麻琴さんとそれぞれ呼ぶようになっていたのだが、そこでおばさんが帰ってきてすべて解決。

麻琴は自分が悪いのに顔を真っ赤にしておばさんに怒っていた。

そして今に至る。



今、冷静に考えてみてもアホなエピソードだ。


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