旅立ち-3
「ゆうとお。来たよお。」
「また来たのか、お前ら。」
「おお、来た来た。楽しくやろうぜえ!」
「なに、こんな時間から酔ってんだよ!」
「実家から日本酒が届いてさあ。勇斗にも飲ましてやろうと思って持ってきたんだ。」
渚は言い終えると、両脇に抱えた2本の一升瓶をドスンとテーブルに置いた。他の面々もコンビニで買い込んだのかビニール袋から沢山の菓子を取り出し、すぐに宴会が始まった。
「ところで勇斗。明日のバーベキューさ、千里が友達連れてくるって。」
「千里の友達って、テニスサークルの美女軍団じゃねえ?」
直也が鼻の下を伸ばして口を挟む。
「やっだあ、スケベ! もう妄想入ってるっしょ。」
「そうゆう渚も、男は誰が来るんだってチェックしてたじゃねえか?」
「そりゃあさ、いい男をはべらせて呑みたいじゃん。」
「そいつはいいな。今日も明日もいい男に囲まれてな。」
「いい男って誰???直也じゃダメだよ。エロだから!」
「渚に言われたくないよ!」
渚達は、勝手に飲んで、勝手に騒いだ。気のいい仲間に囲まれて、いつしか絵里のことを忘れていた。夜も更け、直也達は明日の仕度があると帰っていった。酔いつぶれた渚がスヤスヤと眠っていた。ふと渚の寝顔が目に留まった。僕は、子供のような渚の寝顔に見とれていた。
「ああ、よく寝た!」
「なんだ。起きたのか?」
渚が起き出してきた。
「みんな帰ったんだ・・・・・・
ねえ。勇斗!」
「なに?」
「させてあげようか?」
「お前、起き抜けに他に言うことないのかよ!」
渚と何度か関係を持っていた僕も、渚のあけすけな言い方にさすがにあきれた。
「だってえ、こないだした時さ、お前の体は最高って言ってくれたしさ、
私も気持ちよかったし・・・・・」
「それは間違いないな。渚の体は最高にいい。」
しなだれ掛かる渚に、僕もすぐにその気になった。渚を抱き寄せると、渚は僕にむしゃぶりつくように唇を重ねてきた。
渚はマスクこそ人並みだったが、スタイルは抜群だった。そして、何よりも感度が良かった。僕は、渚と関係を持つことで、始めて女性をイカせる喜びを知った。それを知ってしまった僕は、女性の体を使い射精するだけのセックスに魅力を感じなくなっていた。
渚の悩ましい声が部屋に広がる。渚を組み敷き、僕は体を揺らし続ける。渚は、体を狂おしくうねらせ何度も何度も絶頂に登り詰める。可愛い。僕は震え続ける渚を抱きしめずにいられなかった。渚への思いが燃え上がる。渚が愛おしい、心から可愛いと思っていた。
絵里のことが頭を過ぎる。
僕は、本当に絵里を好きなのか?
僕は、渚をどう思っているのか?
好きって、どういうことだろう?
もし、絵里と体の相性が悪ければ、それでも僕は絵里を好きでいられるのだろうか?
僕は渚を見つめていた。絶頂の余韻の中で、渚が薄っすらと目を開ける。
「勇斗。好き・・・・」
渚は、つぶやくようにそう言うと、僕の体に手を回しキスをねだってきた。
可愛い。渚が本当に可愛い。僕は渚を強く抱きしめると、突き上げる思いのままに荒々しく腰を振った。今は、渚への思いを素直に渚にぶつけることしかできなかった。