鬼-1
『鬼』
「この鬼! 悪魔! どうして教えてくれないの?」
「うっせぇ! 少し黙ってろ!」
オレの名前は鬼神鬼一(おにがみきいち)。名前に鬼ばかりつくため、『鬼』と呼ばれている。決して喧嘩が強いとか鋭い眼光をしているとかは関係ない事をここに付け足しておく。
今は幼なじみの雪月花(ゆきづきはな)の家で週末課題をこなしている最中なのだが、まったく持ってうるさいのだ。名のとおり確かに可愛いというより綺麗なのだが、ただし黙っていればの話……。しかも、こいつは勉強が一切出来ない。最近やった期末考査でさえ赤点オンリーという逆の意味で凄い奴なのだ。
「む〜、早く教えろ〜。鬼!」
「だから、うっせぇ! ちょっと黙ってろ!」
早く課題を終わらしたいのだが、こいつがうるさいし、肩を掴んで揺らしてくるので、まったく集中出来ない。お前の方が『鬼』じゃねぇか、と突っ込みたくなる。
あと少しで週末課題が終わる。ベクトルを解けば終わるのに……。「お〜に! お〜に!」と手拍子に合わせて、笑顔で言うから、終わるものも終わらない。
だが、こいつを無視してなんとか宿題を終わらす。
「よし。終わったぁ」
なんとか雪月花という『鬼』の(精神的な)攻撃から解放された。と思ったのだが、まだ終わっていなかったらしい。
「早く! 早く! 宿題! やって?」
「自分でやれよ! 字でばれるわ!」
「大丈夫! 鬼一くんの字、私にそっくりだから!」
「似ても似つかないわ!」
「む〜、だから鬼って呼ばれるんだよ」
「それは関係ねぇ!」
こいつは確かにうるさいし、勉強も出来ないし、『鬼』みたいな奴だか、オレはこいつの笑顔を守りたいと思っている。こいつの笑顔でオレは救われるのだ。天使のような笑顔と称しても全然おかしくないと思う。
「よっ! 鬼! 宿題やれ!」
と掛け声を掛けるように笑顔でいう。
ああ、やっぱり、こいつは『鬼』だ……。そう思わずに入られなかった。
End
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