秘密〜終わり〜-2
「や〜どもども。私一人のために悪いねぇ」
みー先輩はビール片手に、にこにこ笑って言った。
「みー先輩、たまには部活に顔出して下さいね」
えみが言った。
4年生になっても、部員として名前は残っているけど、来る人はいない。
私自身、4年の先輩には会ったことがない。
だから、今日がみー先輩の引退日。
もう二度と会えなくなるわけじゃない。
ケータイの番号とかも知ってるし、会いたくなったら連絡を取ればいいんだけど…
今までみたいに、みー先輩に会えなくなると思うと、寂しくて涙が出そうになる…
「えみちゃん、なんて顔してるの。
二度と会えなくなるわけじゃないんだよ?」
みー先輩が困ったように笑ってる。
「そっそうなんですけど…」
えみの目から、ぽろっと涙が一粒溢れた。
「やだもう」
みー先輩は笑いながら、えみを抱きしめた。
えみは、声を押し殺して泣いているように見えた。
私は、そんな二人の姿がどんどんぼやけていき、誰にも気付かれないよう、そっと目尻を拭った。
「これからはアンタが部長なんだから、しっかりしてよね!」
みー先輩がえみの背中をさすりながら、まぁ先輩に言った。
「大丈夫ですよ。みー先輩よりうまくやってみせますよ」
「おっ、言ったなぁ。
じゃあ、まず手始めに新入部員、5人確保ね!」
「5人!?うわ〜リアルな数字っすね〜。
50人!とかだったら笑えたのに…」
「何、まさか出来ないわけじゃないわよね〜。
まぁ部長なら5人くらい、ササッと入部させられますよね〜」
「うっわ〜、みー先輩性格わっる!!」
べしっ!
「うっさいわよ、まぁ!
それくらいやんなさいよ!
写真部潰れたらアンタのせいだからね!」
「そこまで言います!?
なっちゃんやえみちゃんがいるんだから、俺の代で潰れることなんてありませんよ〜」
「バカねぇ、なっちゃんやえみちゃんは2年制なんだから、今年で卒業なのよ!」
「…はっ!!ってことは、新しく部員が入んなかったら、誰も写真部に残らない…?」
「まったく…大丈夫かしら」
「大丈夫です!」
みー先輩の腕の中で元気を取り戻したえみが、みー先輩の腕から離れて言った。
「私やなっちゃんが新入部員を確保します!
ね、なっちゃん?」
「はい!任せて下さい」
私も笑顔で答えた。
「それは良かった。
頼もしい後輩がいてくれて助かりましたね、まぁ部長」
みー先輩がにやりとして言った。
「いや〜まったくですなぁ」
っと、まぁ先輩は満面の笑みでビールを一口飲んだ。