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心音
【悲恋 恋愛小説】

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心音-1

放課後彼に呼び出された。

「一緒に帰ろうか」

って。


付き合って2ヶ月。

始めてのことだった……





いつもと同じ様に並んで帰ってるのに、どこか空気は重苦しくて上手く笑えない。街はキラキラと輝いているように見えて、私の周りだけが灰色をしていた。


彼は優しい人でいつも笑顔で私の言うことに決して首を横に振らずに「いいよ」って言ってくれる人だった。 告白したのも私。手を繋いだのも私。デートに誘ったのも私。連絡するのも私。キスをしたのも私。彼は黙って笑みを浮かべているだけ。




気がついたら私が告白した公園に来ていた。いつもは小学生が駆け回り、おじいさんとおばあさんが仲良く寄り添い、買い物帰りの主婦達が談笑しているのに、今日に限って誰もおらず、辺りはシーンとしていた。まるで私達2人しかいないかのように。



「あのね、」


彼は少し遠くを見つめながら慎重に言葉を選んでいるみたいだ。もうわかっているのに。何を言われるのか。率直に言ってくれればいいのに。いつだってどんな時だって優し過ぎる。


「いいよ…もう……わかってるから」


我慢なんてできなかった。いつも辛かった。私だって友達みたいあれしてほしい、これしてほしいって願望ぐらいあった。聞かなくたってずっと前から彼の気持ちなんてわかってた。


「ダメだよ。ちゃんと言わないとずるずる引きずっちゃうと思うし。悲しませたくないんだ。これ以上」


涙が堪えきれなかった。まるで幼稚園児かのようにぽろぽろと涙を流す私に彼は何もしなかった。…よかった。優しくされなくて。大事にされなくてよかった。


「俺ね、お前と同じ気持ちでお前と同じだけお前を好きでいられなかった。辛い想いばかりさせてごめんな。もうちょっとしたらとか馬鹿なこと考えてた。お前の気持ち無視してホントにごめんな」


これが始めてになるのかな。彼の本当の気持ちを聞いたのが。こんなことで聞くことになるなんて。私ってツイてないなぁ。でも、よかった。本当のことを彼自身から聞けて。


「ずっと好きだったから、ちゃんと気持ち聞けてよかった。ありがとう」


私笑えてるかな。でも前を向いて歩くことはできる気がする。次は、次こそはもっと想い合える関係になれるといいな。と強く願った。


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