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おに。
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おに。-3

ってまさか!


「エロナース!?」


慌てて起き上がると、目の前にはスラッとした脚。
でもその脚は、次の瞬間俺の肩を強蹴した。

「誰がエロナースだ」

嫌悪感丸出しの声と共に。

「なんだ、お前か」
「なんだとは何よ。わざわざ様子見に来てあげたのに」
「様子?」
「おばさんからあんたが調子悪そうだから様子見てきてって電話もらったの」
「…ババア、余計な事を」
「は!?」
「いや、わざわざどうも」

再び布団に潜り込んだ。

一つ年下のこいつは、俺のいとこ。
たまたま一人暮らしを始めた時期や場所が近くて、うちの母親は俺に用がある時は必ずこいつを使う。

「風邪ひいたの?」
「あー」
「熱もある?」
「多分」
「妄想しすぎじゃないの?」
「かもね」
「そうだ、あたしトモ君に相談があるんだけど」

熱でうなされてる人間を相談相手に選ぶなよ。
どうせくだらない内容なんだろ。

「何?」

一応聞いてやるけど。

「節分って彼氏に何してあげたらいい?」

知るか!

「毎年恵方巻作ったり豆撒いたりするんだけど、何か恋人らしくないんだよね」
「そもそも節分は恋人の為の行事じゃないだろ」
「えぇ〜、でも何かしたいじゃん」
「ラムちゃんの格好でもしてろ」
「…したら喜んでくれるかな」
「俺だったら嬉しい」
「じゃあ候補に入れとく」

おお、入れとけ入れとけ。
彼氏にドン引きされてしまえ。
アホらしくて、寝返りを打ってそのめんどくさい女に背中を向けた。

「寝ないでよ。ねぇ、他にない?」

ゆさゆさとしつこく体を揺さぶってくる迷惑極まりないいとこ様にイラついて勢いよく起き上がった。

「うるせえ!節分なんかどうだっていいわ!」
「良くない!あたしはどんな小さな行事でも楽しみたいの!!」
「いい年した男が豆撒きに付き合わされるなんて、お前の彼氏が気の毒でしょうがねぇよ!」
「慎吾君は良いって言ってるもん!」

…ちっ
なぁにが慎吾君だよ。
絶対そいつ頭おかしいわ。
こいつのこのめんどくさい体質に何年も付き合えるなんて、どう考えても変だ。


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