火曜日-1
私と睦月の出会いは、美容院のシャンプー台でした。
その日、私は久しぶりに友人と会うので美容院を予約していました。
少し伸びて纏まりづらくなった髪をセットしてもらう為です。
しかし、いざシャンプーという時になって私の担当美容師に電話が入り、急きょ新人の男の子がシャンプーを代わることになりました。
その新人の男の子、というのが睦月でした。
睦月は若々しく、見るからにはつらつとしていました。
年はおそらく私よりも一回り以上下。
二十歳を幾つか過ぎたあたりに見えました。
カフェオレ色の髪とそれとお揃いの瞳。
そして、その澄んだ瞳で臆することなく私を見つめてくるので、私の方がどぎまぎしてしまいました。
専業主婦の私は若い男の子に対する免疫がなく、こんな時どう接していいかわからないのです。
「シャンプー、してもいいですか?」
睦月が双眸を崩し、私にそう尋ねてきました。
「えっ…えぇ、もちろん」
私は慌てて頷きました。
そんな私を見て、睦月はくすりと笑いました。
そして見た目よりもがっしりした腕で私の頭を支えながら、リクライニングを倒していきました。
嫌だ私ったら…何ドキドキしてるのよ。
相手はまだ二十歳そこそこの子供じゃない。
それでも私の中には、睦月とはこの先何かが始まる予感がしていました。
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