初恋-1
校舎の裏に呼び出して、『どうしたの?』って戸惑うあなたに、溢れる想いを止められず…あの日僕はくちづけた。
教師と生徒…
許されない秘密の恋と知りながら、僕はあなたに止められない、自分自身をぶつけていたね。
不器用過ぎて一人よがり、幼き日々のほろ苦い記憶。
青き故の野蛮な僕の過ちを、あなたは責めずに、そっと頷き受け入れた。
伝えきれないもどかしさ、押し潰される僕の胸、あなたが優しく救ってくれた。
ふたりの間に流れる時間は、たゆたうように穏やかで、拙い僕の体の震えを、あなたはそっとなだめてくれた。
あなたがくれるぬくもりに、いつしか僕は溶かされて、二人離れていることが、僕の想いを煽ってた。
あなたの胸で甘えた記憶が、今でも僕を狂わせる。
もう二度と、会えない人とわかってるのに、あなたの笑顔が消えなくて…
仲間と作った輪の中で、あなたの視線を感じる日々に、どれだけ僕が幸せだったか…あなたは気付いてくれたかな?
教師と生徒…
許されない秘密の恋と知っていたから、仲間の前で自分の気持ち飲み込んで、口に出さずにおどけてた。
はかな過ぎて特別な、幼き日々のほの甘い記憶。
たやすく言葉にしてしまったら、僕の想いがふわふわと、胸から飛び立ち逃げていく…そうなることが怖かった。
あなたが密かに秘めていた、他の人への淡い恋、幼き僕はただ執拗に、責めることしか出来なくて。
自分の気持ちを押しつけて、あなたを傷つけ泣かせていたね。
あなたへの溢れる想いを言葉にしたら、僕らの未来は変わってたかな?
あなたの胸ではしゃいだ記憶が、今でも僕を悩ませる。
もう二度と、会えない人とわかってるのに、あなたの声が消えなくて…
変えられない未来をそっと僕に告げ、僕に寄り添いこの胸で、あなたは涙をこらえてた。
教師と生徒…
あなたより僕は強くないことを、あなたはとっくに気付いてたから。
愛し過ぎて哀し過ぎる、幼き日々のせつない記憶。
『消せない壁…』あなたは俯きそう言ったけど、それならいつか壊してみせる、僕はあなたに誓いたかった。
あれからいくつか恋をして、強さと優しさ知った僕…
広い広いこの街で、僕を目にしたその時は、素敵になったと褒めるかな?
一途に散った初恋は、あなたの手から放たれて、いつしか出会うその人に、想いを紡いでゆくだろう。
あなたの胸で喚いた記憶が、今でも僕を惑わせる。
もう二度と、会えない人とわかってるのに、あなたの香りが消えなくて…
もう二度と、会えない人とわかってるのに、あなたの想いが消せなくて…