『愛を写す、君を愛すE』-1
自分じゃない誰かを部屋にいれたのは、初めてかもしれない。
「お母さんは?」
山本ユリカはソワソワしながら、僕に尋ねてきた。
「仕事。」
僕は端的に答え、ブレザーを脱ぐ。
山本ユリカはビクッと反応する。
「・・・別に
襲うつもりなんてさらさらないから安心してよ。」
「っ!!わかってる!」
「あ。じゃなかったら僕襲われちゃうのかな?」
僕は可愛い冗談をついてみる。
「!!そんなこといってないで写真!!写真見せてよ!!!」
どうやら、山本ユリカには冗談は通じないらしい。
「そんな言い方をする方には
ご覧になっていただきたくありませんね。」と僕が言うと、
山本ユリカはしぶしぶ「・・・・・・写真を見せてください・・・。」と言ってきた。
「ハイ。」
僕は自分が撮影した中でも気に入っている写真をまとめたアルバムを
山本ユリカに手渡す。
山本ユリカは立ったまま、食い入るように僕の写真を見だした。
「座れば?」
僕は山本ユリカにベッドの上に座るように促す。
「うん。」
山本ユリカはアルバム見たまま前へ進み、ストンとベッドに腰をかけた。
山本ユリカがアルバムに見入っているうちに、僕は制服を脱ぎはじめる。
僕だって人前で体臭や汗の臭いを気にする年頃だ。
今年は冷夏とはいえ、もちろん汗をかいている。
着替えようとシャツを脱いだとき、
いつの間にか山本ユリカの視線は僕に向けられていた。
それに気がついた僕は山本ユリカに背を向けながら
「エッチ。」
と言葉を投げかけた。