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『It's A Wonderful World』
【コメディ 恋愛小説】

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『It's A Wonderful World 4 』 -21

「シュン! まだまだテンションが足りないぜ!」

スポっと僕の耳にイヤホンを当てるマサキ。

「なっ! これはダースベイダーのテーマ!」

そんなこんなで僕はベイダー卿と戦い、インディージョーンズと戦い……。

「つうか、いい加減にしろや!!!」

「ああ! 俺のiポッドが!!」

「日本人ならソニーを使え!!!」

そうやって目まぐるしく試験期間は過ぎていった。
そして、試験休み明けの火曜日。
廊下に試験結果が張り出された。
上位50人しか張り出されない、学年のランキング表。
今まで僕がここに載ったことはない。
ここに張り出されるだけで、校内ではちょっとした有名人になれる。

「しゅしゅしゅしゅシュン! あったぞ!」

アキヒロが指差す。
そこには。

総合10位   桐山瞬

僕が、10位……!?
2年生400人中、10位!?

「シュン!!!」

抱きついてくるマサキ。
やたら暑苦しい抱擁だったけども気にならない。
やった。
僕はやったんだ!!!
嬉しさと達成感がこみ上げてくる。
この僕が!
思わず泣きそうになってしまった。
これで仁美さんにも認めて貰えるだろうか。
これだけがんばったんだから、きっと……。

「桐山くん」

その時、背後からかわいらしい声が聞こえた。
この声は、まさか……。
振り返れば、冗談のようにいつも綺麗な仁美さんがいて。

「あのね」

仁美さんは学年3位だった。
さすがだ。
でも、今の僕と仁美さんに大きな差はない。

「こないだ粉がどうのって言ってたけど、メリケン粉の方がカロリーは高いと思うの。ごめんね、この前は驚いちゃって」

にっこりと優雅な笑みを浮かべて言う仁美さん。

「ああああああああありがとう! ありがとう!!!」

僕は泣いていた。
会話してしまった。
あの仁美さんと、このカレー粉が。
これも勉強したお陰だ。
良かった。
ホントに良かったよう。

「シュン、ほんとにいいのか!? そんなんで満足なのか!?」

「つうか、仁美さんって結構変な子だよな」

しゃなりしゃなりと華麗に立ち去っていく仁美さんを泣きながら見送りながら、うるさい外野を無視する。
ああ、天にも昇りそうな気分だ。
努力ってすばらしい。
この調子でがんばるんだ。
そして、いつか仁美さんと……!!!

つづきますね!


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