『It's A Wonderful World 4 』 -17
「シュン! 大切なのは食べ物だったんだ! DHAだ! ドコサヘキサなんとかだ!」
「ほほう」
「魚を食えよ。刺身だ。さあ! さあさあ!」
そういいながら、マサキは寝そべると裸になって、乳首の上に刺身を乗せていった。
「まさかの男体盛り…」
マサキの声は艶っぽい。
警察に連絡した。
「シュン! わかったぜ! 要はテンションだ! マツリだ! 勉強マツリじゃあああああ!」
そう言いながら、僕の部屋で和太鼓を叩いていたマサキ。
なぜかふんどし一丁だった。
「……」
僕は無言で、和太鼓を窓の外に捨てた。
「突っ込みもなしなんて!?」
ちなみにベンゾウは、僕んちでFFをクリアした。
そんなこんなで1ヵ月なんてすぐに経ってしまった。
今日は試験前日。
放課後の放送室で、僕は静かに教科書を閉じる。
やれることは全てやった。
今回の中間テスト。
僕に死角はない!
国語も英語も世界史も。
数学も物理も。
保健体育でさえも。
今の僕は無敵だ。
こんなに勉強したのは産まれて初めてかもしれない。
思えば、つい一月ほど前の僕はなんとアホだったことか。
ただのゴミだった。
いや、Dustだった。
いかんいかん。
あふれ出す知性のせいでついEnglishにしてしまう。
「あり、おり、はべり、いまそかり」
いかんいかん。
思わずラ行変格活用を口走ってしまう。
あふれ出すインテリジェンスが止まらない。
ああ、僕ってなんて知的なんだ。
「シューン! さっき川原でエロ本拾ったんだけどさー」
ドスドスと思い足音を響かせて、アキヒロが放送室に入ってくる。
「ふっ」
僕は思わず失笑をもらした。
「何か用かね、アキヒロ君」
アキヒロを遥か高みから見下ろす。
川原でエロ本を拾ったのがそんなに嬉しいのか。
つうか、川原て。
むしろ哀れだ。
アホとはこうも可愛そうなものだったのか。
「これでアイスでも食いな」
思わずアキヒロに千円を渡していた。
「え、いいのかよ。千円も……。ハハハハーゲンダダダダッツ買えちゃうじゃんかよ」
ハハハハーゲンダダダダッツってなんだ。
それを買える事がそんなに嬉しいのか、アキヒロは身震いを起こしている。