『It's A Wonderful World 4 』 -15
「あのさ」
破かれたノートに群がって、狼狽している3人に向かって口を開く。
「勉強するから、邪魔しないでくんない?」
『すみません……』
3人の声が重なった。
何しに来たんだ。こいつら。
アホ達のことは放置して、僕は机に座って教科書を開く。
結局、参考書などは買わないことにした。
今度行われる中間テストでは、大体出題される問題は、教科書からか、学校指定のワークから出されるからだ。
ベンゾウなどにではなく、ちゃんとした友人に今日、学校で聞いていたのだ。
とりあえず、出題範囲までのワークを解き、教科書を熟読することにする。
あとはどれだけ覚えられるかだ。
数学とかでも、テストに出題される問題は、全て教科書かワークに載っている問題と同じだ。
結局、学内の定期テストは全て暗記なのだ。
そこまで調べて、僕はワークの問題を解き始めた。
「なんかヒマだすねー。あ、シュン君。プレステやっていいだすか?」
「老師、3人でもできる桃鉄やりましょうよー」
「お、マサキ君。わたす桃鉄はファミコンの頃から全部やってるだすよ」
ああ。
雑音が聞こえる。
こいつらはなんなんだ。
僕に勉強しろってけしかけたのはマサキなのに。
つうか、ベンゾウ。桃鉄してる暇があったら働け。
「あのさ、うるさいんだけど。帰れや」
思わず、3人に声をかけてしまう。
「そんな! わたすたちは少しでもシュン君を応援しようとしてたんだす」
「邪魔にしかなってねえ。つうか、オマエの存在自体が邪魔だ。社会的に」
「ひどいだす」
「シュン!」
マサキが声を荒げて立ち上がる。
「色んな障害を乗り越えてこその成功だ!」
「障害だと認めるんだな!?」
何がしたいんだ、このイガグリは。
「いや、なんつーか。学校終わってからは、お前んちにくるのが当たり前になってたしよー」
「放送室とか色々あるだろ!?」
なんのための聖域だ。
「シュンがいなきゃダメなんだ!」
そう叫んで抱きついてくるマサキ。
容赦なく蹴り飛ばす。