ENDS-1
SIDE:Kiyo
有介と一緒に暮らし始めて三カ月が経ちました。
季節は夏を迎えるというのに、私は相変わらず、有介もやっぱり幽霊でなーんの変化もありません。
そんな状況を打破したかったのか、はたまた朝希とタマさんに影響されたのか分かりませんが、私は今日、二人に有介を紹介するつもりでいたりします。
でも今更考えてしまうんです。
私と有介って何なんですか!?
付き合ってるわけじゃないんですよ!?
それなのに一緒に住んでるんですよ!?
家主と居候ですか!?
でも居候が『幽霊』っておかしいですよね!?
有介があまりにも自然で身近な存在になってしまっていたので『幽霊』であることに抵抗を感じなくなっていました。
なので朝希に有介が幽霊だとは言ってません。
朝希とタマさんの反応も不安なんです。
私にしてみたら有介は有介なんですが、二人から見れば幽霊。
もし二人に有介を認めてもらえなかったらきっと有介は悲しむ。
本当ならばこの世にいないはずのものだから…。
私はキュッと蛇口を捻ってシャワーを止めました。
「はあ…」
「幸せ逃げるよ?」
「っ!?」
私が浴室のドアを開けると有介がニコニコ顔で立っていました。
「あ♪おっぱ」
「ギャァァァァァーーッ!!」
私は洗面所とリビングを隔てるドアを思いっきり開けました。
「有介!私がお風呂に入ってる時は洗面所に来ちゃダメって何回も言ってるじゃないですかぁっ!」
鍵なんて有介には何の意味もありません。
有介はテーブルに肘をついて座り、悪びれる様子もなくただただ楽しそうに微笑んでいました。
「え〜いいじゃぁん。おっぱいの一つや二つ」
「良くないです!彼氏でもないのに…」
「じゃあ彼氏になる♪」
「ダメです!」
「ダメ…?」
ああ、でました。有介の必殺技。
有介は寂しそうに首を傾げます。
「オレが幽霊だから?」
私が困るの知っててそういう顔をします。
わざとそうしている。私だって知っているのに
「あ…う。その…」
うろたえてしまいます。
有介はずるいです。
そんな悲しそうな顔で、私を求める瞳で見られたら、冗談でも有介を拒否出来るわけないじゃないですか。
私が何も言えなくなっておどおどしていると
「…プ、アッハハハハ!!」
突然有介が笑い始めました。