ENDS-2
「はぃ?」
「ふふ、姫代面白ぇな、いっつもいっつも…!分かってるから、ね?オレからかってるだけだから」
まだクスクス笑いながら私に近付いてきます。そして、覗き込むように屈んで私の頭を撫でました。
「ごめん、ごめん」
かぁっと顔が熱くなってきます。
それを隠すために、私は有介にぷいと背を向けるのでした。
「か、からかわないでください!あっ、朝希たちが来ちゃいます!準備しなきゃ、準備!」
背後でまだ有介が笑っているのを感じます。
私は手当たり次第に、散らかっている雑誌や服などを片付け始めました。
―ピンポーン…
そうこうしている内に、どうやら二人がやってきたようです。
「緊張しなくていいですからね?大丈夫ですから」
「オレ、全然ですけど」
有介がまた笑います。
―ピンポーン…ピンポピンポピピピピンポーン
「怒ってるよ?早く行ってきなよ」
有介が顎で玄関を指します。
私はぷうっと頬を膨らまして見せてから、二人を出迎えに行きました。
「…遅ーい」
「姫代さーん!お邪魔しまーす」
「ごめんごめん、どうぞ入って!」
ドアを開けて二人を中へ入るよう促しました。
リビングでは有介が「どーもー!」と手を振っています。
私はキッチンから麦茶を持って朝希とタマさんの後ろからリビングに入っていきました。
「姫代、おいでおいで」
有介が手招きして、自分の隣をポンポン叩いています。
私はそこに腰を下ろして咳払いをしました。
心臓のドキドキを紛らわせるためにはそれしか思い付きません。
「えっと…、これ…こちら、柏木 有介…さん」
思えば、誰かに人を紹介するなんてしたことがありません。
言葉が詰まってぎこちない自分が恥ずかしいです。
しかし、そんな私とは打って変わって有介はにこにこと楽しそうでした。
「初めましてー♪有ちゃんでーす」
「えと…私の職場のくれいむの同期の友達の、橋田 朝希さん。と!彼氏の沖田 真央さん」
ふぅ。
一仕事終わりました。一気に気が抜けていきます。