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『私の咎』
【熟女/人妻 官能小説】

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『私の咎』-25

「だけどさ、君が倒れたら困っちゃうよ。奈津美が家を守っていてくれるから僕も安心して働けるんだし、お金だって……」

 けれど英明もグラスを棚にもどそうとやってきて逃げることも出来ない。

「お金も大事だけど、やっぱり社会とも接点もっておきたいし、だから、気にしないで……」
「君がそういうなら……」

 しぶしぶ納得する英明だが、まだ何かいい足りないらしく、奈津美のことを静かに見つめている。

「どうしたの、あなた。もしかして貴方も疲れてるとか?」
「ん……、ただ……ちょっと……」

 そしてゆっくりと近づく彼の顔……。

 英明は言葉に詰まるとキスをしてくる。

「ゴメンナサイ、ちょっと虫歯あるみたいで……」
「そう? 残念」

 顔を背け、キスを拒む。
 残念そうに言う彼に罪悪感を抱くも、それを打ち明けることも出来ず、ただうつむき、うなだれるだけ……。

 指輪をなくした場所。
 それを思い出せずに……。



「もう、坂入さんも木ノ内さんもサボらないで……。それと、倉庫は雑談場所じゃないんですからね……」
「はーい」
「へーい」

 就業時間にもかかわらず事務所で駄弁に勤しんでいた二人を叱る博は、頼りない店長。
 一向に減らない在庫と今月の売り上げ実績を見てため息をつく姿は、年齢以上の哀愁を見せる。

「あの、店長……」
「あ、奈津美さん……。どうかしましたか?」

 それでも奈津美の声を聞くと機嫌の良さそうな声を返してくる。
 爽やかで頼りなげで、どことなく母性本能を擽るマスク。
 性交渉には少々クセがあるものの、求める様は精悍なものだった。

「お話がありまして……」

 彼とは極力目を合わせてはいけない。
 心を許した覚えはないが、身体の、良い部分を知られている。
 胸を下からもみあげられるとゾクゾクして呻いてしまう。同時に首筋を舐められると我慢ができずに唸る自分。
 年下の男に身体を弄ばれる快感に堕ちるのを、奈津美は怖れていた……。

「なにかな?」
「車に乗せてくれませんか……」
「え?」

 驚きと嬉しさの混ざった複雑な表情の博は取るもの投げ出す勢いで奈津美に駆け寄る。

「指輪をなくしたみたいなんで……」

 あくまでも理由があってのこと。

「指輪? ……あぁ、なるほど……。でも、ホテルかもしれませんよ?」

 博は奈津美の隣に行くと、その肩にそっと手を置き、横顔を舐めるように見る。


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