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『私の咎』
【熟女/人妻 官能小説】

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『私の咎』-23



「あの、レコーダーのことなんですけど……」

 お風呂から上がり髪が乾いたところで、奈津美は切り出した。

「え? ああ、はい、ちゃんと処分しておきますよ……」

 博はベッドにうつぶせになりながら雑誌を読んでおり、彼女の申し出にも振り向かずに答える。

「また録音してたりしませんよね……」
「さあ、どうだろうね」
「店長……」
「だって、奈津美ママと別れたくないし、それに奈津美さんだって……ね?」
「そんなこと……ありません……」

 本当のところ、どうなのだろうか?

 今日の二回目。
 逃げるそぶりもみせず、彼の求めに応じ、受け入れてしまった。
 もちろん彼が風呂を上がったと同時に膣にシャワーを当てて中指でほじくるようにして洗った。
 膣内射精をされたとき、拒めたのだろうか?
 風呂場のような足場のもろいところで暴れては危険。
 そして、相手の機嫌を損ねるのも同じく不利益。

 だからしょうがないことなのだ……、

 はたしてそう言えるのだろうか?

 もし本当に博の行為を拒む気持ちがあるのなら、
 夫や息子が大切なら、

 こんな不適切な関係など……、

 ――……そんなこと、だって私は脅迫されて仕方なく……。

 理由が言い訳になり、詭弁に変わるうちに、奈津美は立っていることも出来なくなり、うずくまり、それでも泣き出すのを堪えていた。

「奈津美さん?」
「店長、お願いします、もうこんなこと、これっきりに……これっきりにしてください……」

 堪える気持ちで上擦る声。
 性欲と理性の狭間で揺れる気持ちを振り切り、言い終えると、博は「ふぅ」と短くため息をついたあと、去っていった……。



 いつものように夫と子供を送り出し、パートに向かう。

 断るべき。
 自分には愛する夫と子供がいる。
 それを裏切ることなどできない。

 そう強く意識して職場へ向う。


 けれど……、

『ぁ、ぁ、だめぇ……、わたしぃ、ぃ……っちゃ……ぃます……』

 にやけた顔で緑のレコーダーを操作する博。
 涼しい風の吹くホテルの一室、カラフルな照明を背に受ける彼は淫猥な悪魔に見えた。

「あ……あ……」

 安いソープの香りを漂わせるバスローブ姿の奈津美は、迫り来る脅迫を装う誘惑に身じろぐことをしなかった。


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