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『私の咎』
【熟女/人妻 官能小説】

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『私の咎』-11

「これ、お酒ですか?」
「ええ、そうですよ。っていうか、気付きませんでしたか?」
「はい……、お酒はちょっと……、主人にもいつも我慢してもらってますし、いくら試飲でも悪いかなって……」

 そうは言いつつも、注がれるワインを受け、ゆっくりとだが飲んでしまう奈津美。
 それほどお酒が好きでも強くもない彼女だが、女性受けを目的にしているらしいそのワインは口当たりが甘く、後味がすっきりさせる苦味で確かに彼女の口にもあったのだ。
 さらに最近蓄積させた疲労とストレスのせいで、お酒の誘惑に耐えることができなかった。

「帰りはどうします?」
「自転車ですけど、押して帰りますから大丈夫です」

 すっかり顔を赤くしてしまった奈津美は鍵を握り締めてふらふらと立ち上がる。

「なんなら送りますよ? そうですよ、そのほうがいい。さ、行きましょう」
「でも、悪いですよ」
「いえいえ、無理にお酒を勧めたのは私ですし……」
「はぁ……」

 腕をとられぐいぐいと引かれる奈津美。頭では抵抗しなければと思うも、飲みすぎていた身体は博の思うまま……。



 助手席に乗せられたのは久しぶり。
 普段夫の車に乗るときはいつも秋雄が前に乗りたがり、譲っていたから。
 本当は助手席に乗るのが好き。
 普段は子供っぽい英明が真剣な横顔を見せてくれるのが好きだから。
 そして、車を出すときにすっと身体を近づけられるのが、どきどきするから。

「失礼しますね……」

 それは博も同じ。
 普段は熟練パートに言いように言いくるめられている彼の幼い顔立ちが真剣になり、胸元の開いたシャツがセクシーだった。
 夫以外とも付き合ったことはある。
 短大の頃に合コンで知り合ったいまどきの格好をした大学生。最初は新鮮な気持ちになれたが、彼の浮気でその恋も終わり。
 そのせいか、英明のような自分だけに首ったけな男になびくことができた。
 ただ、正直なところ、少し不満もある。
 夫婦、特に秋雄が出来てからは夜の営みの回数も減ったこと。少し前のキスもじらされるだけで、本当はもっと熱烈なものが欲しかった。

 ――なんか不倫みたい……。

 普段なら想像すらしないことなのだが、今は酔いも回っているせいか、思考もおぼつかない。

 ――え? でも店長も……飲んでたんじゃ……。

 彼は自分と同じものを飲んでいた。つまりは飲酒運転になるわけだ。

「あの、店長、お酒……」
「あぁ、すみません、検問があるみたいなんで、別の道行きますね……」
「は、はい……」

 奈津美は免許を持っていないが、社会通念として飲酒運転の是非など考えるまでもなくいけないことと知っている。
 けれど、走り出した車が別の道にそれると、それを言い出すきっかけもなくなってしまう。


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