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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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豚カツ=勝利のおまじない?-2

2 グングン一位との距離を縮めていく。
残り50mで遂に並んだ。だが、相手も流石に手強い。ずっと一位だっただけはある。
よく見りゃ、あれは総合一位のクラスの三年生じゃないか。ま、負けるな、憲。
抜きつ抜かれつのデッドヒートが30m…20m…10m!!
………憲!!
アタシは目を思わず瞑ってしまった。
……………どうなったんだ?
ゆっくり目を開けると、クラスメイトのみんなが嬉しそうな顔してる。トラックを見ると、憲がガッツポーズをしていた。
「か、勝ったのか……?」
「見てなかったのか!?勝ったぞ!流石は俺が認めた(惚れた)男だ!!」
よ、よかった。勝ったのかぁ。
安堵していると、憲がそのままテントに帰って来た。
「よくやった!」
「さすが!!」
「いやもう、ヒヤヒヤしたぞ」
周りから称賛されながら、憲がアタシの横に寝転んだ。
「はぁぁぁ、疲れたぁ……」
「お疲れ。やったな!」
アタシがそう言うと、憲はフワッと笑った。
思わず赤面してしまう。
「どうだった?」
「ふぇ…?」
赤くなった顔を見られたくなくて、憲から見えないようにしていたら、聞いてきた。予期しないことだったので、ちょっと挙動不振になってしまう。
「いや、俺の走り」
「あ、あぁ。……あの…その………………った」
「へ?なんて言ったんだ?小さくて、聞こえなかった」
うぅ、恥ずかしいって分かってないな、こいつはぁ!
も、もう一回だけだからな。
「その……カッコ良かった」
「そうか?」
「も、もちろんだ!」
「そうか、ありがとう」
ーーーーーーっ。
憲の笑顔に胸が高鳴った。
だ、駄目だ!!もっと顔が赤くなったぁ。
「ところで、なんで独はこんな所で白眼剥いてるんだ?」
ギクッ……。
一転して、アタシの顔が青くなる。
「さ、さぁ」
とりあえず誤魔化しとこ。
「ふぅ〜ん、ま…いっか」
良いのか……?
と、それどころじゃない。
やっと昼休みだ!!
「け、憲。あのさ、その…弁当…作って来たんだ。た、食べてくれるよな?」
「もちろんだ」
やった!!
弁当を鞄から取り出した。
「……………」
「どうかしたのか?」
目を見張る憲に聞いた。
「いや、でかくないか?」
「そうか?」
言われてみれば、そうかも。重箱三つは、多かったかなぁ。
「まぁ、食べてくれよ」
包みを取って、蓋を開ける。
「………いや、これはないんじゃないか?」
「え?な、なんか変か?」
「デカ過ぎだろ」
うーん、確かに箱いっぱいに豚カツ……デカいな。
「………ごめん」
「お、怒ってなんかないぞ。い、いただきまぁす」
しょんぼりするアタシを気遣ってか、憲が豚カツに手をつけた。
「うっ………」
「け、憲!?や、やっぱ不味かったか!?」
「美味い………」
「え……?」
「まさに豚カツ……。これならご飯三杯はいける!!」
そう言って、憲はご飯をかきこみ始めた。
良かった……。すごく嬉しいや。やっぱり、好きな人に言ってもらいたいもんな。
「まだまだあるからな!!」
「いや、流石に全部は……。昼から走れねぇよ」
う……確かに。これだけ量は一人じゃ食べきれないよなぁ。
「……よし!!オーイ、みんな、白雪の豚カツ食べないか?本当に美味いぞ」
な、なななな!?
「け、憲!?」
「流石に一人では無理だからな。やっぱ、みんなで食べるのが一番だろ?」
そうかもしれないけど………、アタシは憲だけに食べてもらいたかった。そんなアタシの想いを知らずに、みんなが豚カツに手を出していく。
「美味しいっ!」
「どれどれ…?本当だ、美味い!」
「クソーッ!恵まれ過ぎだぞ、憲!!俺も彼女欲しい!!」
………ちょっと鼻が高くなるな。
「良いだろー」
自慢げに憲が言うのも、ちょっと恥ずかしいけど嬉しい。
「奇跡だ……あの白雪の料理がこんなに美味いなんて」
む、孝之め。奇跡じゃない、努力の結果だ!!
「そんなに酷かったの?」
クラスメイトの八木愛里が孝之に聞いた。
クリクリッとした目が、女のアタシから見てもかわいい。性格もアタシなんかよりずっと良い女の子だ。
憲がアタシと付き合い始める前、一番仲が良い子だった。
「前に食べたやつなんて、胃が爆発するかと思ったからな」
孝之め、いらん事を!!
「でも、本当美味しいよ、矢城さん」
う、顔が赤くなるぅ。
「あ、ありがと。そ、それと……」
「?」
「し、白雪で良いよ」
「……うん!白雪。アタシも愛里って読んでね」
「う、うん。愛里」
良い子だ。嬉しいな、友達が増えたぞ。
おや、いつの間にか復活した高坂が最後の豚カツを食べてら。
「うん、確かに美味い。そーいや、みんな食ったか?」
高坂が聞くとみんなが頷く。なんなんだ?
「これで、昼からの全員リレーは俺たちの勝ちだな!!豚カツ食って勝つ!!」
高坂が拳を挙げてそう言うと、みんなが呼応した。
よぉし、アタシも燃えてきた!!


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