ピリオド 後編-6
――仕方ない…。
「ちょっと待ってて」
覚悟を決め、オレはリビングの明かりを消すと亜紀の隣に潜り込んだ。
当然、背を向けて。
すると、すぐに冷たいモノが足元に触れた。
「…和哉の足、温ったかい」
女性と寝て、足先をくっ付けられたことなんて初めてだ。
しかも、こんなに冷たいなんて。
「姉さん、冷たい足くっつけられたらオレが寝られないよ」
思いとは裏腹な言葉が口をつく。過去をあれだけ否定しておいて、こんなシチュエーションに引き込むとは。
――卑怯だ。
しかし亜紀は、そんなことに構うこと無く、オレを更に惑わせようとする。
「ねえ和哉、何でむこう向いてるの?」
「何でって…」
触れる足先、鼻に届く体臭、背中越しに聴こえる呼吸音。
すべての状況がオレを昂ぶらせて身体は反応していた。
今振り返れば、それがバレちまう。
「姉さん……これ以上、オレを試さないでくれ」
――さもさくば、本当に…。
「和哉…」
亜紀が囁く。
「お願いだから、顔…見せて」
むこうを向いたら、またあの頃に逆戻りになってしまう。
だが、オレは自身の身体を止められずに、気づけば大きな瞳が目の前にあった。
「和哉…」
「…姉さん」
互いの息が掛かる距離で、亜紀の右手がオレの左手に組みついた。
次第に息が乱れていく。
「和哉…しよう」
「……」
云い終わらぬうちに、亜紀はオレの手を取り自らのショーツの中へと導いた。
「分かる?和哉」
恥丘の柔らかな陰毛の先、亜紀の秘部はすでに熱くなっていた。
「少し濡れてるでしょう…」
「……」
「ねえ、もっと濡らしてよ」
亜紀はそう云うと、オレの指をさらに奥へと導く。