ピリオド 後編-11
竹内とスナックで別れ、自宅アパートに着いたのは未明の時刻だった。
「遅かったわね」
オレの帰りを亜紀は待っていた。
「久しぶりに友人と会ってね。ちょっと飲んでたんだ」
「へえ。そのわりには、ひどく深刻な顔してるのね」
さっき聞かされた内容は、作り笑いさえも奪い去っていたようだ。
「本当のこと云いなさい。何をしてたの?」
もう、ごまかす気持ちさえ失せた。
「…実はさっきまで、義兄さんと会ってたんだ」
亜紀は大きく目を見開き、驚きの表情を向けた。
「そ、そう…それで?」
「すべて聞いたよ。姉さんが離婚したがってる理由を」
オレの言葉に亜紀は、悲しげな顔をすると、
「そっか、バレちゃったんだ」
俯いて黙りこくってしまった。
…「ピリオド」後編 完…
終編に続く。